Ente Nazionale Idrocarburiの通称。炭化水素公社と訳される,イタリアの国家持株会社。第2次大戦後ポー川流域で天然ガスが発見されたのを契機に,国際石油資本(メジャー)に対抗して,エネルギー産業自立化を目的に1953年に設立された。IRI(イリ)(産業復興公社)などと同じく,国家持株省の下にある全額政府出資の持株会社である。その下に部門別の持株会社AGIP(アジップ)(石油・天然ガス鉱業,石油製品販売,新聞業,モーテル事業,金融保険業ほか),ANIC(アニチ)(石油精製,化学工業,繊維工業ほか),SNAM(ズナム)(石油・天然ガス等の輸送,機械工業,原子力産業ほか)の3持株子会社があり,この3社がそれぞれ数十社の事業会社(合計で100余社)を擁するという機構になっている。海外進出に積極的で,世界各地で石油・天然ガスの探鉱,開発,精製,販売や石油化学事業等を積極的に行っている。こうした積極的経営戦略をとりENI発展の基礎をつくったのが,有名なマッテイEnrico Mattei(1906-62)である。なおENIが急成長できた背景には,ポー川流域の広大な地域の天然ガス探鉱・開発ならびに輸送に関する独占権を付与されたことがある。政府が傘下会社どうしもしくは傘下会社と他社との競争を維持していることが特徴的なこととしてあげられ,こうしたこともあってENIは低廉な炭化水素を国内に安定的に供給している。92年,政府は民営化の方針を決定,95年以降株式を民間に売却し,2004年には政府出資比率が20%となった。
執筆者:熊坂 敏彦
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…その間,失業率は決して低くはなかったが,物価・国際収支・通貨などは極めて安定している。高度成長の過程で主導的な役割を果たしたのは,フィアット,エジソン,モンテカティーニ,ズニア・ビスコーザ(合成繊維,1917年設立),ピレリ,オリベッティなどに代表されるような機械・電力・化学などの民間工業部門,IRIおよび53年に創設された〈炭化水素公社(ENI(エニ))〉といった国家持株会社であった。一方のIRIは,製鉄・造船といった重工業のみならず,電話,航空,高速道路などのサービス部門にも関与し,他方のENIは,石油や天然ガスといったエネルギーの安定供給に貢献し,総じて経済発展に大きな効果を発揮している。…
…IRIは公法上の法人であり,日本でいう特殊法人にあたる。 イタリアでは国家持株会社制度がとられ,国家持株省の下にIRIをはじめ,ENI(エニ)(炭化水素公社),EFIM(エフイム)など,合計六つの持株会社があり,それぞれの持株会社の下に(持株子会社が入ることもある),多くの事業会社がある。IRIはこのうちの最大のグループである。…
…イタリアの実業家で,ENI(炭化水素公社)の初代総裁。警察官の子としてイタリア北部の小村に生まれ,小学校卒業後は仕事のかたわら夜学で会計学を学んだ。…
※「ENI」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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