ground controlled approachの略称。地上の管制官がレーダーによって航空機の位置を測定し、機首方向や高度をパイロットに指示して航空機を滑走路まで誘導する地上誘導着陸方式または地上誘導着陸装置のこと。着陸誘導管制ともいう。ASR(空港監視レーダー)とPAR(精測進入レーダー)の2組のレーダーで構成されている。
ASRは通常ターミナル・レーダーとして単独で進入管制に使用されることが多いが、GCAとして使用される場合は、空港から半径約55キロメートル以内の航空機をGCAの飛行経路に沿って最終進入地点まで誘導する。
滑走路から約18.5キロメートルの最終進入地点からは、PARによって、着陸態勢に入った航空機を降下路に沿って正確に滑走路まで誘導する。降下路は最終進入地点より水平面に対して2.5~3.0度の降下角で滑走路の接地点まで設定されており、管制官はレーダースコープ上で航空機の降下路からの左右上下のずれを測定し、無線電話でパイロットに指示を与える。パイロットは管制官の指示に従い機首方位と高度を修正しながら降下を続けることにより、正確に降下路上を飛行し正しい着地点に着陸することができる。
航空機の着陸援助装置としては、民間航空用の飛行場では現在ほとんどILS(計器着陸装置)が使用され、GCAはあまり使用されなくなった。しかしILSと比べ航空機上に特別の装置を必要とせず、通常の無線電話だけで誘導でき、しかも簡単に移動できるなどの利点があるため、軍用飛行場では軍用機の特殊性から標準装備として設置されている。
[青木享起・仲村宸一郎]
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…航空機の着陸に際し,夜間や霧,雨などの悪天候下で空港周辺の視程が利かない場合,電波を用いて航空機を滑走路に誘導するための方法または装置がいくつかある。この中でILSは従来用いられてきた地上レーダーと管制官による着陸誘導方式(GCA。ground‐controlled approachの略)に代わり,精度が高く,人的過誤を最少にとどめ,かつ機上の自動操縦装置と連動することにより,自動近接あるいは自動着陸を可能にするものとして開発された。…
…(4)着陸誘導管制業務 着陸する航空機に対し,精密進入レーダー(PAR)を用いて,滑走路端から10km前後の位置からコースと高さを継続的に指示して接地点まで誘導する。いわゆるGCA(ground controlled approachの略)と呼ばれるものであるが,現在はほとんど計器着陸装置(ILS)に置き換えられている。(5)航空路管制業務 空港周辺の空域を除き,飛行情報区内を飛行するすべての計器飛行方式の航空機に対して行われる管制業務で,航空機が隣接する飛行情報区に飛行する場合は,あらかじめ必要な情報を通報し,当該機が支障なく飛行を続けられるように取り計らう。…
…しかし,NDBは空電の影響を受けやすく,また悪天候の場合には指度が不正確になるという欠点があり,さらに性能のよいVORが開発されるとともに,現在では,この360度全方位を識別できるVORと距離を自動的に計測できる距離測定装置(DME)が航空路の主要施設となっている。また悪天候や夜間の着陸誘導装置についても,第2次大戦中にアメリカでGCAが開発されたのをはじめ,より確実な計器着陸装置(ILS)の実用化など電波の利用が進み,さらに航空交通管制システムにも種々のレーダーが導入され,航空保安施設の中で電波を利用した施設の比重は増大している。
[種類]
航空保安無線施設は機能面から,(1)飛行中の航空機の自機の位置の測定ならびに針路決定を援助する施設(無線航行援助施設),(2)航空機が計器飛行によって進入ならびに着陸をする際に滑走路へ精密誘導をする施設,(3)航空交通管制に必要な情報の把握および機上のパイロットへ情報を提供する施設,(4)空地間の無線通信を行うための施設の四つに分類することができる。…
※「GCA」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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