LD転炉法(読み)エルディーてんろほう(その他表記)Linzer Donawitz Verfahren; LD converter process

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「LD転炉法」の意味・わかりやすい解説

LD転炉法
エルディーてんろほう
Linzer Donawitz Verfahren; LD converter process

純酸素上吹き転炉による製鋼法。1949年オーストリアで試験操業に成功。LDは試験工場の頭文字である。1952年から本格操業,日本では 1957年八幡製鉄所に導入され,以来各社の採用するところとなった。炉はとっくり形の鉄板外被にタールドロマイト,マグネシア煉瓦を厚く内張りした塩基性炉で,上部開口からランス(管槍)を差し込み 6~10kg/cm2の圧力で純酸素を送り,溶銑を酸化吹錬(→溶錬)する。容量は溶鋼 200~300tを普通とするが 300t以上の大型もある。炉内容積は 1tあたり 0.6~1.0m3。装入原料は溶銑のほか鉄屑および石灰石,鉄鉱石,ケイ砂などの造滓溶剤である。原料銑は高ケイ素の酸性転炉銑(ベッセマー銑)や高リンの塩基性転炉銑(トマス銑)のようなめんどうな制限はなく,通常,炭素 3.5%以上,ケイ素 0.5~1.0%,マンガン 0.8%以上,リン 0.15~0.25%程度で,鋼滓は石灰の添加により CaO 50%程度の塩基性とする。本法は炉況が安定で,平炉に比し吹錬が短くてすむので生産性が高く,製造鋼種の範囲が広く,経費も安くすむなどの特長があるため,平炉法から代替した。日本では本法導入以来,製鉄原料事情から独特の技術改良が進み,日本式 LD法ともいうべき技術が確立し,1960年代以降の粗鋼生産の飛躍的増産に大きく貢献した。

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