POP広告(読み)ぴーおーぴーこうこく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「POP広告」の意味・わかりやすい解説

POP広告
ぴーおーぴーこうこく

販売店などの内外に展開される広告やディスプレー類の総称。point of purchase広告の略。購買時点広告、販売時点広告ともいう。流通革新によるセルフサービス時代の社会にとっては、POP広告は、「メーカー」「小売店」「消費者」の三者を結びつけるために始められた、一連の広告キャンペーンを締めくくるための最終手段である。

 POP広告は、(1)ブランド(商標)を識別させ、場合によっては他メーカーからの切替えを誘う機能をもつ、(2)商品に注目させ、購買を決断させる説得力をもつ、(3)衝動的動機を利用して商品を販売する、という直接的な役割を果たす。さらに「ものいわぬセールスマン」といわれるように、販売店員を手助けして販売店に装飾効果をもたらす。また、全国的広告と小売販路との連絡をとりもち、ストア・トラフィック(小売店内の客の流れ)をつくりだして消費者の関心を店にひきつける一方、小売業者の好意をかちとるように働きかける。一般的に販売店という場には、顧客が店にきてから商品を手にするまでの経路(顧客動線)がある。したがって掲出される広告物は、内容、形状、素材などで異なっているとはいえ、それぞれの場所に応じてすべて顧客動線に沿って統一された表現企画によって掲出されるというのが通例である。POP広告と同様の機能を、大量陳列など商品の陳列手法やしゃれた商品パッケージに託すという新しい方法もこの類である。POP広告の最近の傾向としては、自動的に動くメカニカルマネキンジオラマ、モーション・カードのほかに、オーディオビジュアル・ディスプレーなどが販売のうえで効果があるといわれている。

 日本経済は、1988年から約10年間にわたり、かつてない景気変動期に遭遇し、総広告費も景気と連動して増減した。しかし、POP広告の総広告費に占める割合は、2.7~2.8%と変わっていない。これは、POP広告はバブル期およびバブル崩壊期を問わず、消費者の衝動買いを促す効果のある手段であることを立証したといえるであろう。

[島守光雄]

『島田陽介著『新POP広告』(1977・同文舘出版)』『白髭武編『POP広告の戦略』(1964・税務経理協会)』『棚谷喬著『POP広告――理論と実際』(1988・電通)』『蛯沢久吉著『POP広告実技百科――レタリング・コピー・レイアウト』(1990・ビジネス社)』『今津次朗著『POP広告制作大全』(1996・エム・ビー・シー)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「POP広告」の意味・わかりやすい解説

POP広告
ピーオーピーこうこく
point of purchase advertisement

購買時点における広告活動をいい,そのための広告物をもさす。ポップ広告ともいう。メーカーや商店の側からみれば point of salesすなわち販売時点でもあるところから POS広告または PS広告,店頭広告とも呼ぶ。目的としては,(1) マスコミ広告による潜在的な効果を購買時点で顕在化し,購買に結びつける,(2) 店頭で衝動的に商品選択を行う消費者の意識を自社ブランドに向ける,(3) メーカーが小売店に代って,店頭で直接消費者を説得する,(4) メーカーが小売店援助対策の一環として行う,などがあげられる。したがって形態としては,看板,ポスター,各種のディスプレイなどがある。

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