ネオンサイン(読み)ねおんさいん(その他表記)neon sign

デジタル大辞泉 「ネオンサイン」の意味・読み・例文・類語

ネオン‐サイン(neon sign)

ネオン管を用いた装飾的な文字や絵。ネオンの赤、アルゴンの紫、ヘリウムの白、水銀青色など、封入するガスによって色が変化するので広告などに利用される。
[類語]電飾イルミネーション

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精選版 日本国語大辞典 「ネオンサイン」の意味・読み・例文・類語

ネオン‐サイン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] neon sign ) ネオン管灯を用いた、広告・装飾用の文字や絵。ネオン。
    1. [初出の実例]「ネオン・サインの赤文字の広告燈」(出典:浅草紅団(1929‐30)〈川端康成〉一七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネオンサイン」の意味・わかりやすい解説

ネオンサイン
ねおんさいん
neon sign

赤、緑、青、白などの光を出すネオン管を、ネオン変圧器で点灯し、点滅器または調光器で、文字や色の点滅変化を行う電気サインの一種。建物の屋上などに設置され、広告の手段として使用される。ネオンサインに使用するネオン管は、細長いガラス管の両端電極を設け、ネオンガスまたは水銀とアルゴンの混合物を封入した放電灯で、グロー放電による陽光柱部分の発光を利用する。ガラス管には透明ガラス管、透明ガラス管の内壁に蛍光体を塗布した蛍光管、着色ガラス管および着色ガラス管の内壁に蛍光体を塗布した着色蛍光管の4種類がある。

 赤色は透明ガラス管にネオンガスを封入してあり、青色は透明ガラス管に水銀・アルゴンガスを封入し、緑色は緑の蛍光管に水銀・アルゴンガスを封入して色を出す。

 放電灯の研究は1850年ごろにつくられたガイスラー管に始まる。これを用いてドイツやフランスで放電現象や蛍光現象の研究が行われた。その後、1872年にクルックス管の考案があるが、放電現象を利用した最初の光源は、1893年ムーアDaniel McFarlan Moore(1869―1936)のムーア管である。しかし、これは取扱いの不便さから実用・普及に至らなかった。1910年G・クロードがパリでネオン管を展示し、続いて1918年A・クロードAndré Claude(G・クロードの従兄弟(いとこ))がパリの街路にサイン用ネオン管を点灯し実用化した。その後、著しく発展し広告用として普及した。

 日本で最初の本格的なネオンサインは、1926年(大正15)7月東京・日本橋白木屋(後、東急百貨店日本橋店。1999年1月閉店)の屋上広告である。

 ネオンサインは、通常、巻線型ネオン変圧器やインバーター式ネオン変圧器で点灯される。二次無負荷電圧は、1万5000ボルト以下各種あり、短絡電流は普通型で20ミリアンペア、高輝度用で40ミリアンペア前後である。点滅器は変圧器の一次側(低圧側)に設備され、回転ローラー上の銅板の刻みによって、種々の点滅が行われる。点滅の基本的なものとして、常点(全点)、全消、順点、順消、走り点滅(点滅のある段階が移動してついていく)、影送り点滅(ついていない部分が順に送られていく)、二方向の点滅(縦・横二方向の点滅をする)およびランダム点滅がある。サイリスタを用いた調光装置で、赤、緑、青のネオン管をそれぞれ独立に調光すると、色が徐々に移りゆく変化をして、美しい色を出すことができる。

 特殊なネオン管として、管中にさらに細管を多数入れて放電路を変化させるものや、パラフィンナフタレンの混合物を混ぜ、光を揺らせるものなどがある。

 日本では2007年(平成19)ごろからネオンサインの分野にも省エネルギー光源としてのLED(Light Emitting Diode=発光ダイオードの略)の使用が、チャンネル文字(奥行があって立体的に見える)の背面照明用あるいは内部光源用にネオン管にかわって増え始め、ビル壁面の装飾に効果をあげている。

[高橋貞雄・小原章男]

『照明学会編・刊『照明技術の発達とともに 照明学会75年史』p.141(1991)』『全日本ネオン協会編『ネオンサインの知識と実務』(2000・オーム社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「ネオンサイン」の意味・わかりやすい解説

ネオンサイン
neon sign

ネオン管を曲げてつくった広告または標示。主としてネオンガスのグロー放電の陽光柱によって橙赤色に発光する管形の放電ランプをネオン管といい,同じ形式の水銀(発光色は青緑),ヘリウム(赤みを帯びた黄),窒素(黄)などのグロー放電ランプも含まれる。また水銀封入の青緑発光のネオン管の内壁に,各種の蛍光物質を塗布した各色の蛍光ネオン管も現在普及している。ネオンサインはこれらネオン管を,広告しようとする文字や絵の形に曲げて点灯するもので,その色と華やかさにおいて電気広告媒体の花形といえる。点灯にはふつうネオン変圧器(磁気漏れ変圧器)を使用し,自動点滅装置を使って操作する。ネオン管の長さ1mにつき約1000Vの電圧を必要とする。この値が1万5000Vを超えないよう,すなわち15mごとに1台の変圧器を設置する必要がある。
執筆者:

ネオンサインの利用は,20世紀初めに店頭の照明用として始まり,まもなく広告媒体として利用されるようになった。1913年のロンドンのウェストエンド・シネマのネオン看板は最初期の例として知られている。20年代から屋外広告として普及し始め,30年代のイギリスでは,交通信号とまぎらわしいとして苦情が出る一方,ネオンサイン賛美のエッセーが残されてもいる。日本では,1918年に東京銀座の谷沢鞄店で用いたのが最初であるという。東京電気(東芝の前身)が国産ネオン管の製作に成功して,26年に日比谷公園納涼会で点灯され,以後急速に普及した。とくに第2次世界大戦前のネオンサイン全盛期である昭和初期には〈赤い灯,青い灯〉と当時の流行歌にもその情景が歌い込まれている。しかし第2次大戦直前からネオンサインの点灯は禁じられ,47年ころから再び点灯され始め,49年3月に全面的に解禁された。73年秋からの石油危機の際には,政府の呼びかけで点灯時間が短くなったこともある。

 ネオンサインは近代都市のシンボルともいわれ,イギリスのピカデリー・サーカスやアメリカのタイムズ・スクエア,東京の銀座はネオンサインの美しい街として知られ,またその消長は国の景気の盛衰の代名詞ともなっている。一方,ヨーロッパでは由緒ある古建築保全や景観維持のためにネオンサイン設置反対の声も強く,イギリスの〈都市・田園計画法〉のような規制も設けられている。
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百科事典マイペディア 「ネオンサイン」の意味・わかりやすい解説

ネオンサイン

ネオン管灯を曲げて文字や図形を作り,看板,広告,表示等に利用するもの。ネオン管灯はグロー放電の陽光柱を利用する冷陰極放電灯で,細長いガラス管の両端に電極があり,ネオンなどの低圧の不活性ガスまたは水銀を封入,ネオントランスを用いて点灯する。ネオンガスの場合は赤だいだい色,水銀の場合は青色であるが,ガラスの色,蛍光物質の塗布等により各種の色光が得られる。20世紀初めから店頭照明用,広告として使われ始め,日本では1918年に東京銀座に登場したのが最初とされる。東京電気(東芝の前身)製の国産ネオン管が1926年に点灯されてから広く普及し,繁華街・近代都市の象徴ともなっているが,景観保全のためにネオンサイン設置に反対する動きもある。
→関連項目イルミネーション放電灯

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