remotely piloted vehicleの略。遠隔操縦無人機とも呼ばれる。地上指令所,別の航空機など離れた場所からの無線または有線指令により,あるいはRPVに搭載されたプログラム飛行装置により操縦される無人の航空機である。対空砲火が激しく,有人の航空機を使用できないような局面において,従来,有人の航空機によって行われてきた任務の一部を遂行させる。RPVは,使い捨て型と再使用型に大別される。使い捨て型の例としては,航空機に対する地上からの攻撃を分散させるためのおとり用RPVがある。しかし大部分のRPVは,パラシュートやネットなどによって回収される再使用型である。代表的な例としては,テレビカメラなど偵察用器材が搭載され,偵察,監視などを行うRPV,電子妨害用器材を使用して電子戦を行うRPVのほか,通信中継を行うRPVなどがある。歴史的には,1917年に初飛行したアメリカ海軍の空中魚雷と呼ばれたものが,実験的に成功した最初のRPVといわれている。第2次世界大戦後,老朽化した有人の航空機を無人化したものを含む対空射撃訓練用標的機の技術が,電子技術とともに急速な進歩を遂げたことにより,偵察や電子戦などの任務を遂行する本格的なRPVの開発が可能になった。60年代中期には,アメリカにおいてRPVが実用化され,北ベトナムなどで実戦に使用された。現在,世界各国で研究開発が進められているものを含め,100種以上のRPVがあり,重量は5kg程度のものから,10t近いものまである。RPVは,経費の節減,パイロットの安全などの理由から,軍事用途以外にも応用されている。遠隔操縦研究機と呼ばれるRPVは,航空機の飛行性能などを試験・研究するのに使用される。また,火星探索時に使うRPVなどの研究も進められている。
執筆者:青山 謹也
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