日本大百科全書(ニッポニカ) 「自動車税・軽自動車税」の意味・わかりやすい解説
自動車税・軽自動車税
じどうしゃぜいけいじどうしゃぜい
自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車および二輪の小型自動車)の所有者に対し市町村および特別区が課する税である。
車に対する税は、1873年(明治6)に国税として創設された車税(馬車、人力車などを対象とする税)に始まる。車税は1896年に廃止され、車に対する税は府県の雑種税となった。1940年(昭和15)に、車に対する税のうち自転車および荷車に対するものは、自転車税および荷車税として市町村へ移譲され、自動車に対するものは、自動車税として府県が課することになった。市町村はこれに付加税を課することができた(1950年に、シャウプ勧告に基づく税制改正で、付加税制度は廃止された)。その後、1954年(昭和29)に自転車税と荷車税が統合されて自転車荷車税となったが、58年には、零細課税を整理する趣旨で、この税が廃止され、その課税客体に含まれていた原動機付自転車と、自動車税の課税客体に含まれていた軽自動車および二輪小型自動車とを課税客体として、新たに軽自動車税が、市町村(特別区を含む)の法定普通税として創設された。したがって、都道府県の自動車税は、バス、トラックのほか普通自動車と三輪以上の小型自動車のみを対象とすることになった。
現行の自動車税および軽自動車税は、自動車および軽自動車等(以下、自動車という)の所有という事実に担税力をみいだして課税するものであり、財産税の一種と考えられている。と同時に、自動車の使用は道路を損傷することになるので、損傷の補修に要する費用について応分の負担をするという原因者負担の意味をもあわせもつとされている。さらに、一部の自動車については奢侈(しゃし)品課税の性格をも残している。
標準税率は、自動車1台につき、車種、総排気量、営業用・自家用の区分などに従って年額いくらと定額で定められている。この税率は新車、中古車を問わず同一であり、自動車の減耗の度合いによっては減額されない。制限税率は標準税率の1.2倍である。
[大川 武]