日雇い派遣(読み)ひやといはけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日雇い派遣」の意味・わかりやすい解説

日雇い派遣
ひやといはけん

人材派遣会社などの派遣元と労働者が結ぶ労働契約が30日以内である派遣形態。労働契約が31日以上であれば、労働者が派遣先で就労する期間が短期間でも日雇い派遣にはあたらない。日雇い派遣はワーキングプア温床となりやすいこと、福利厚生などの条件が劣悪である場合が多いことなどから社会問題となり、民主党政権下の2012年(平成24)10月に施行された改正労働者派遣法により、原則禁止となった。ただし、ソフトウェア開発ファイリング秘書、研究開発など、いわゆるホワイトカラー専門職に関する業務については、例外的に日雇い派遣が認められている。また、60歳以上の者、雇用保険適用を受けない学生(いわゆる「昼間学生」)、副業として従事する者(ただし生業年収が500万円以上の者に限る)、主たる生計者以外の者(ただし世帯年収が500万円以上の者に限る)にも認められる。

[編集部]

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人材マネジメント用語集 「日雇い派遣」の解説

日雇い派遣

派遣労働者うち、1日単位の雇用契約で働く者を指していう。
※1ヵ月未満の雇用契約で働く者は「短期派遣(労働者)」という。
? 労働者の働き方の多様化と、企業の繁忙期の人員確保の為の非正規雇用へのニーズ、及び1999年の労働者派遣法の規制緩和(派遣先業種の原則自由化)により、急速に広まった。
? 派遣労働者には、派遣会社に常に雇われている「常用型」と、派遣会社に登録し、派遣先が決まった時だけ雇われる「登録型」がある。
? 「登録型」は派遣労働者全体の約4分の3を占めるといわれ、そのうちの約8割が1日単位の雇用契約(日雇い派遣)で働いているといわれている。
? 2007年8月の「日雇い派遣労働者の実態に関する調査」(厚生労働省)によれば、登録者数500万人弱となる調査対象会社10社合計だけでも、一日あたりの派遣労働者数は約6万5千人にも及んでいる。
? 現在(2008年7月)では、人材派遣会社の相次ぐ法令違反や、日雇い派遣が「ワーキングプアの温床」になるとの世論の影響があり、30日以内の登録型派遣を原則禁止する等、労働者派遣法を規制強化する方向で改正方針が提言されている。
? 日雇い派遣を含めた派遣のあり方については今後の動向が注目されるところである。

出典 (株)アクティブアンドカンパニー人材マネジメント用語集について 情報

人事労務用語辞典 「日雇い派遣」の解説

日雇い派遣

派遣労働者のうち、1ヵ月未満の雇用契約で働く者を「短期派遣(労働者)」、1日単位の雇用契約で働く者を「日雇い派遣(労働者)」といいます。働き方の選択肢一つとして、また企業にとっても繁忙期の人員確保に便利なため、急速に広まりましたが、労働条件をはじめとするさまざまな問題が浮上し、議論を呼んでいます。
(2007/12/17掲載)

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

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