共同通信ニュース用語解説 「キツネザル」の解説
キツネザル
キツネザル科の霊長類の総称で、マダガスカルの固有種。一部はコモロ諸島など周辺の島にも生息するが、人為的に移されたとみられている。数千万年前にはアフリカ大陸で生息していた種が、マダガスカルに漂着し、独自の進化を遂げたとされる。体長6センチほどの極小種から体長70センチほどの大型種まで100種類以上が存在する。
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翻訳|lemur
キツネザル科の霊長類の総称で、マダガスカルの固有種。一部はコモロ諸島など周辺の島にも生息するが、人為的に移されたとみられている。数千万年前にはアフリカ大陸で生息していた種が、マダガスカルに漂着し、独自の進化を遂げたとされる。体長6センチほどの極小種から体長70センチほどの大型種まで100種類以上が存在する。
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リマーともいう。マダガスカル島に生息している原猿類はすべてキツネザル下目Lemuriformesに分類されるが,そのうちのアイアイとインドリ科の4種を除いたすべてが霊長目キツネザル科Lemuridaeとしてまとめられる。キツネザルとは,突出した口吻(こうふん)や長い尾がキツネに似ているという印象を与えるためにつけられた名前である。キツネザル科に共通する特徴として,下肢の第2指がかぎづめになっていることがあげられる。高等な霊長類では,指のつめがすべて平づめであることから,このかぎづめはキツネザルの原始性を示すものと考えられている。歯は,小臼歯(しようきゆうし)が人間より1本多く,下あごの切歯と犬歯が櫛(くし)の歯のように並ぶという特徴をもつ。
キツネザル科はコビトキツネザル亜科Cheirogaleinaeとキツネザル亜科Lemurinaeに分けられる。コビトキツネザル亜科には小型のものが多く,ネズミからモルモットほどの大きさである。完全な夜行性で,基本的には単独行動者である。果実食にかたよったものと昆虫食にかたよったものがあるがいずれも雑食で,樹上生活をする。眼が比較的大きく,鼻口部の突出も極端ではないので,一見,ロリス科のガラゴに似る。キツネザル亜科のものは小~中型のイヌくらいの大きさである。樹上生活が一般的であるが,ワオキツネザルはよく地上にも降りる。食物は,果実や木の葉などの植物性のもので,昆虫はほとんど食べない。夜行性から昼行性への移行を示しており,早朝と夕方に活動する薄暮性の種が多い。ただイタチキツネザルだけは完全な夜行性で,その他の性質がよりインドリ科のものに似ていることからも,これを独立の亜科として扱うべきだという意見もある。社会生活でも,イタチキツネザルだけは単独生活者であり,それ以外のキツネザル亜科のものは集団生活を行っている。ジェントルキツネザルとエリマキキツネザルが雌雄各1頭とその子どもからなるペア型の集団をつくり,その他はより大型の両性集団をつくる。
執筆者:北村 光二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱霊長目キツネザル科に属する動物の総称。また、より広義にはキツネザル科とインドリ科を含むキツネザル上科全体、またはキツネザル上科にアイアイ上科を加えたキツネザル下目のすべてをさす。さらにまた、狭義にはキツネザル科のなかでとくにキツネザル亜科、あるいはキツネザル属に含まれる種のみをさす。ここではキツネザル科以下の範囲で解説する。キツネザル科Lemuridaeの原猿は、マダガスカル島とその周囲の小島、およびコモロ諸島に分布する。キツネザル亜科Lemurinaeとコビトキツネザル亜科Cheirogaleinaeに二分され、前者はキツネザル属Lemur(マカコキツネザル、マングースキツネザル、ワオキツネザルなどのグループ)、ジェントルキツネザル属Hapalemur、イタチキツネザル属Lepilemurの3属を、後者はコビトキツネザル属Cheirogaleus、フォークキツネザル属Phaner、ネズミキツネザル属Microcebusの3属を含む。小さいものは小形のネズミぐらいで、大形の種は中形のイヌほどの大きさがある。鼻口部は突出し、鼻は無毛で湿っており、耳介は大きい。ふさふさした長い尾をもち、四肢には把握力がある。後肢第2指には鉤(かぎ)づめがあるが、ほかの指はすべて平づめをもつ。大部分の種は歯式は
で歯数は36本であるが、イタチキツネザルは上顎(じょうがく)門歯を欠き32本しかない。キツネザル亜科は昼行性の傾向が強く、コビトキツネザル亜科は夜行性である。また、夜行性の種には単独生活者が多く、昼行性の仲間には、家族的な群れや、複数の雄と雌を含む20頭以上の群れをつくるものがある。多くの種が、尿や糞(ふん)、あるいは皮脂腺(ひしせん)からの分泌物を木の枝などに塗り付けて、縄張りの維持と結び付いたマーキング行動を示す。乳首は1~3対で、1産の子数は1頭ないし2、3頭と幅がある。食性は一般に雑食であるが、葉食性や果実食性の傾向の強いものもあり、種ごとに異なる。
[上原重男]
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出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…もともとニホンザルを指すことばであったが,現在ではヒト以外の霊長類の総称として用いられ,狭義には,真猿類のオマキザル科とオナガザル科の種を指す。英語では,尾の長いサルをmonkey,尾のないサルをape,原猿類をlemur,またはprosimianといっている。 いわゆるサルということばから連想するイメージは,賢そうな顔つきや目つきをもち,木登りがうまく,手先が器用で,果実や木の実を好み,群れをなして森の中でくらしている動物といったものであろう。…
※「キツネザル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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