マダガスカル島に固有の原猿の1種で,シファカ,アバヒとともに霊長目インドリ科を構成する。インドリの名は,フランスの博物学者ソンヌラPierre Sonnerat(1748-1814)が,このサルに出会ったとき,現地人が“ごらんなさい”という意味で“インドリ”と叫んだのをこの動物の名と思い込んだことによる。現地名はbabakotouなど。原猿類の中では最大で,頭胴長が70cmある。尾はほとんどないに等しく3cmほどである。そのがっしりとした体格に比して頭は小さい。後肢はよく発達しており,移動時には体を垂直に保ったままでジャンプする。インドリはマダガスカル島北東部の降雨林に生息し,昼行性でおもに樹上で生活する。食物は木の葉が主である。1頭の雄と1頭の雌,それに1~2頭の子どもが加わったペア型の集団をつくって生活している。集団間のなわばりは明りょうではないが,一つの丘には一つの集団がいるという形で分布している。彼らは,のどをふるわせてテナガザルに見られるような長く尾を引き転調のある大きな音声をもっていて,この音声が集団間の接触を避けるのに役だっていると考えられている。
執筆者:北村 光二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱霊長目インドリ科の動物。1属1種の原猿。マダガスカル島の固有種で、東部の多雨林にすむ。原猿のなかでもっとも大きく、頭胴長60センチメートル以上にも達する。同科のシファカに似るが、尾が約3センチメートルしかなく、鼻口部が長い。絹毛が密生し、黒褐色と灰白色のまだら模様であるが、部位ごとの配色には個体差がある。後肢は大きくて前肢より長く、第1指に対向性がある。歯式は
で30本。喉頭(こうとう)部に気嚢(きのう)がある。昼行性で家族的な群れをつくり、縄張りがある。主食は葉で、花や果実も食べる。樹上性で体軸を垂直に保った姿勢で幹にしがみつき、後肢のばねを利用して幹から幹へ跳び移る。よく通る不気味な声を発する。
[上原重男]
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