改訂新版 世界大百科事典 「ワオキツネザル」の意味・わかりやすい解説
ワオキツネザル
ring-tailed lemur
Lemur catta
霊長目キツネザル科の原猿。白と黒の輪状の縞模様の尾が特徴的である。頭胴長は約50cm,尾長は約50cmで,顔面は淡色だが目のあたりは黒くアライグマに似た相貌をもつ。マダガスカル南部のブッシュ地帯に生息し,キツネザルの中では地上性の傾向が強い。地上を歩行するときは尾を高く上げ,樹上での採食時には真下にたらす。腋下と前肢の内側に皮脂腺があり,雄は皮脂腺の分泌物を自分の尾にすりこんで振りまわし,〈悪臭合戦〉をするという。果実,葉,花などの植物食。集団は6~8haの行動域をもち,1日に1kmぐらいを移動する。複数のおとなの雄を含む20頭前後の群れをつくる。雄と雌は別々の順位のオーダーをもち,雌のほうが雄より優位である。雌とその子どもに優位な雄が加わってサブグループを形成するという。
執筆者:早木 仁成
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報