イギリスの解剖学、自然人類学者。スコットランド、アバディーンに生まれる。アバディーン大学、ロンドンのユニバーシティ・カレッジ、ドイツのライプツィヒ大学に学び、医学、理学ならびに法学の博士号を受けた。その間1889~1892年に軍医としてタイに赴き、霊長類の比較解剖学への興味が芽生えた。王立外科大学、王立研究所、アバディーン大学の教授を歴任。1912~1914年、王立人類学会会長を務めた。発生学、人種学などの研究とともに、主としてヨーロッパ、アフリカの人類化石に基づいて人類進化の研究を行った。とくに、イスラエルのカルメル山洞窟(どうくつ)人骨(旧人段階)がヨーロッパの旧人と異なることを明らかにし、西アジアにおける旧人研究の端緒を開いた。1924年に南アフリカ、タウングで出土したアウストラロピテクスについては否定的態度をとった。『人類の発生学および形態学』をはじめ、解剖学、人種学、人類進化学に関する多くの著書を残した。その幅広い研究により、近代自然人類学の先駆者の一人といわれる。
[埴原和郎 2018年11月19日]
20世紀前半に,人類の起源・進化の研究分野で活躍したイギリスを代表する人類学者。足の解剖学的特徴から,ヒトの祖先はメガネザル以前に分岐し,次いで新世界ザル,旧世界ザル,テナガザルと分かれてきた大型類人猿のなかに含まれると考えた(類人猿説)。この類人猿レベルではブラキエーション(腕わたり)をしており,それから人類の二足歩行が導き出されたという(ブラキエーション説)。直接的な化石研究というより,比較解剖に基づく系統発生説といえよう。1930年ころはホルモンの研究がさかんで,キースもこれに着目し,頭骨の性差や人種差,人種の分化や化石人類から現代人への身体の進化的変化も,ホルモン作用の強弱で説明を試みた。そして晩年には《人類進化の新理論》(1948)を出版し,サルからヒトへ進化するには,社会性をもったグループの形成と隔離の2要因が大きく影響したと結論している。
執筆者:江原 昭善
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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