アバディーン(英語表記)Aberdeen

翻訳|Aberdeen

デジタル大辞泉 「アバディーン」の意味・読み・例文・類語

アバディーン(Aberdeen)

英国スコットランド北東部の港湾都市。漁業・造船が盛ん。また、北海油田補給基地
米国サウスダコタ州北東部の都市。1880年に鉄道の分岐点となり、交通の要地となった。周辺は農業、牧畜業が盛ん。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アバディーン」の意味・わかりやすい解説

アバディーン
Aberdeen

イギリススコットランド北東部の都市。単一自治体(カウンシルエリア council area)。旧アバディーンシャー県の県都。アバディーンシャーの行政府所在地。1975年の自治体再編でグランピアン県の県都および一地区となり,1996年に単一自治体となった。大部分が旧アバディーンシャー県に属するが,南部の一部は旧キンカーディンシャー県に属する。北海に臨む港湾都市で,ディー川とドン川の河口にまたがって位置する。市の建物の大部分が花崗岩でできており,「花崗岩の都市」と呼ばれる。12世紀にさかのぼる歴史をもつ町で,1179年頃獅子王ウィリアムによって勅許状を与えられ,交易中心地として発展。1336年イングランドエドワード3世の攻撃を受け,町は焼き払われたが,まもなく再建され,市街も拡大,北のドン川南岸に 6世紀以来大聖堂を中心に発展していた町と区別するため,ニューアバディーンと呼ばれるようになった。17世紀半ばのイングランドの内戦時には議会派,国王派双方により略奪されたが,その後も発展を続け,19世紀初め頃から市域も拡大,1891年にはオールドアバディーンを合併した。ディー川河口の三角江(→エスチュアリー)は天然の良港をなし,港湾施設は絶えず改修,拡張,近代化され,スコットランド北部の主要港として,スカンジナビアやバルト海方面との貿易が盛ん。また蒸気機関やディーゼル機関によるトロール漁業が発展してからはスコットランド第一の漁港となったが,近年は北海油田の関連産業が比重を増している。化学,肥料などの工業が立地するほか,イギリス最大の花崗岩産出地となっている。観光業も発展。1970年代以降,北海油田の開発とともにスコットランドで最も経済活動が活発になり,石油関連工業,建設,金融の中心地となった。アバディーン大学はオールドアバディーンのキングズ・カレッジ(1495)とニューアバディーンのマーシャル・カレッジ(1593)が 1860年合併して成立。面積 184km2。人口 20万6880(2006推計)。

アバディーン
Aberdeen

ホンコンチャイ Hong Kong Chaiともいい,中国語では香港仔と書く。ホンコンのホンコン島南岸西部にある港湾地域。沖合いを島に守られた静かな入江にあり,古くは海賊が根拠地としたといわれる。サンパンと呼ばれる小舟が停泊し,蛋民 (たんみん) が水上生活を営む。ほとんどが漁業,運送業に従事し,観光客を相手に魚介類を商う。 1978年に完成したオーシャン公園は,海中公園として世界最大。旧暦5月5日にはドラゴンボート・レース (竜舟賽) が行われ,見物客が多い。

アバディーン(伯)
アバディーン[はく]
Aberdeen, George Hamilton-Gordon, 4th Earl of

[生]1784.1.28. エディンバラ
[没]1860.12.14. ロンドン
イギリスの政治家。 1806年から上院議員。保守党内閣の陸軍・植民相,外相をつとめ,R.ピールの死後ピール派の指導者となる。 52年 12月ホイッグ党との連立内閣を組織し首相に就任。クリミア戦争には消極的であったが,55年1月戦争遂行について下院の支持が得られず辞任した。

アバディーン
Aberdeen

アメリカ合衆国,サウスダコタ州北東部の都市。 1880年に鉄道分岐点として創設。現在は農業および酪農地域を後背地にもつ,金融,商取引の中心地として発展。軽工業もいくらかある。人口2万 4927 (1990) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「アバディーン」の意味・わかりやすい解説

アバディーン
Aberdeen

イギリス,スコットランド北東部,グランピアン州(旧,アバディーン州)の州都。人口20万6600(2003)。北海に面し,ドン川とディー川の両河口間に位置する。スコットランド最大の漁港で,ニシンなどの水揚げが多く,魚市場や水産加工場も立地する。スコットランドにおいて人口ではグラスゴー,エジンバラに次ぎ,造船,製紙,繊維などの工業も発達している。元はドン川南岸の大聖堂を核とする旧市街と,ディー河口の漁港を中心とする新市街は分離していたが,19世紀に合併した双子都市である。1176年王立都市となって以後,北海・バルト海貿易で繁栄,一時宮廷も置かれたが,1336年のエドワード3世の侵入で焼き払われた。1494年創立のキングズ・カレッジがあり,学術都市としての伝統も古い。また都心には郊外で産する花コウ岩を利用した建築物が多く,〈花コウ岩の町Granite City〉の異名をもつ。詩人バイロンは少年時代の8年間をこの地で過ごした。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アバディーン」の意味・わかりやすい解説

アバディーン
あばでぃーん
Aberdeen

イギリス、スコットランド北東部の港湾都市。ディー川とドン川両河川の河口に位置する。人口21万2125(2001)で、スコットランド第三の都市。シェトランド、オークニー両諸島との間に定期船が就航している。19世紀中ごろにニシン漁で栄え、以後、漁船の動力化に伴って港湾や魚肉加工施設を拡充した。北海漁業の基地で、漁獲高はスコットランド第1位、イギリス第3位。南郊の漁村の名をとったフィナン・ハドック(タラの薫製)はイギリス中に知られる。ハイランド地方産の肉牛市場があり、造船、機械、食品、印刷などの工業もある。1960年代以降、北海油田の開発に伴い、資材、食料などの補給基地として経済活動が活発化している。また花崗(かこう)岩の切出しが盛んで、市街にはマリシャル・カレッジをはじめとする美しい建築物が多く、「花崗岩の町」としても有名。12世紀にスコットランド王の直轄都市となり、当時から重要な町であった。アバディーン大学は14世紀創立のキングズ・カレッジの伝統を受け継ぐ。

[米田 巌]

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百科事典マイペディア 「アバディーン」の意味・わかりやすい解説

アバディーン

英国,スコットランド北東部,北海に面する港湾都市。グランピアン州の州都。花コウ岩の特産は300年の歴史をもつ。トロール漁業の根拠地でありスコットランド第一の港湾。織物・造船・醸造工業もある。1970年代北海油田の開発により経済活動がさらに活発になった。中世,スコットランド王家の居住地。アバディーン大学(1494年創立)がある。22万3000人(2011)。

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