タンブール(揚水機)(読み)たんぶーる

世界大百科事典(旧版)内のタンブール(揚水機)の言及

【灌漑】より

…多くのむらではこのような用水のしかたを監督する水番や管理人を置いていたが,渇水季になるとわずかな水の利用をめぐって水争いの起こることがしばしばあったといわれる。揚水具としては,水力を用いる水車(ナーウール),畜力を用いる揚水車(サーキヤ,ドゥラーブ),人力による揚水車(ダーリーヤ)やらせん状揚水機(タンブール)およびはねつるべ(シャードゥフ)などが一般に用いられた。しかしイランのカナートが熟練の技術者によって掘られたように,ナーウールやサーキヤなどの揚水車も専門の大工によって製造されたから,その建設には費用がかかり,いきおい建設に伴う用水権はイクター保有者や地主などの富裕者に帰することになったのである。…

【水車】より

…もっとも水車の動力としての利用も継続しており,珍しい例では,10世紀のティグリス,ユーフラテス両川沿いの都市で,製粉・製紙に用いられた浮水車,バスラで同じく動力用の潮汐水車などが記録されている。 イスラム時代の水車は原理的にはそれ以前のものと変わらないが,初めてそれが農業に応用されることによって,それまでダルウdalw(滑車の付いたつるべ),シャードゥーフshādūf(はねつるべ),タンブールṭanbūr(アルキメデスのスクリュー)などによって,菜園的な規模でしか行われてこなかった夏作が一挙に拡大し,輪作による土地利用の高度化が実現した点が重要である。この過程で水車のデザインや細部の改良もすすみ,その一部がヨーロッパにも伝わった。…

※「タンブール(揚水機)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」