ハラール認証(読み)ハラールニンショウ

デジタル大辞泉 「ハラール認証」の意味・読み・例文・類語

ハラール‐にんしょう【ハラール認証】

商品やサービスイスラム教戒律を満たしていることを認定するもの。各国地域にある認証機関が審査・発行し、認定を受けた商品には認証マークが表示される。
[補説]イスラム教では豚肉アルコール摂取が禁じられているため、食品・医薬品・化粧品などの製造工程で豚由来成分やアルコールが使用されていないことや、保管・流通過程で非ハラール商品と接触していないことなどが求められる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハラール認証」の意味・わかりやすい解説

ハラール認証
はらーるにんしょう

食品や日用品、サービスがイスラム法の規定に合致しており、イスラム教徒が安心して食べたり、使用・利用したりできることの保証。ハラールとは「許されるもの」を意味するアラビア語で、ハラール認証されたものは、教徒の生活規律を定めたイスラム法(シャリーア)によって禁じられている原材料を使用しておらず、製造や輸送などがルールにのっとって行われていることなどを表している。認証の対象となるものは、食品やその原材料をはじめ、医薬品、衣類玩具、コンピュータソフト、イスラム教徒を対象とする保険、イベント企画、製品を製造する工場や輸送、レストランのサービスなど、イスラム教徒が直接・間接に消費・利用するものすべてにおよぶ。

 国や国際宗教組織などによって世界各地に設置されているハラール認証機関が監査し、認証した製品やサービスに対して認定証を発行する。監査はハラール基準に基づいて行われ、たとえば食肉の場合には、飼料をはじめ、規律に従って屠畜(とちく)されたか、加工・倉庫管理・保存や輸送中にいたるまで、ナジス(不浄)と定められたものから完全に隔離されているかなど、全工程に対して検査が行われる。認証された食品はハラール食品やハラール製品、ハラールフードとよばれる。また、それらの食品が農場(生産者)から消費者に届くまでの流れを、ハラールフードチェーンという。ナジスとされるブタについては、食肉、内臓、血液、骨をはじめ、ラードやゼラチンなどの派生した製品が数多く、目で見て判断することがむずかしいものも増えており、認証制度の重要性は増している。なかでも東南アジア諸国のように宗教が混在する地域のイスラム教徒にとっては、ハラール認証は重要である。同様に、日本のような非イスラム国からイスラム圏への輸出ビジネスにも欠かせない。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵mini 「ハラール認証」の解説

ハラール認証

イスラム教の戒律に則って調理・製造された商品であることを証するシステムのこと。ハラール(ハラル)とはイスラム法において「合法なもの」の意味で、イスラム教徒(ムスリム)は「豚肉(豚由来の食品や添加物を含む)」「血液」「酒類」「イスラム法に則って食肉処理されていないもの」などは口にしてはならない。厳格には、イスラム法で禁じられたものが入った飼料で育てられた食肉も、豚肉の入った冷蔵庫に保管された食品も、酒類を使い調理された料理も「ハラール」ではない。しかしハラール認証には国際的な統一基準がなく、そこまで厳密ではないものでも認証する団体が日本国内だけで100程度あるとされる。イスラム圏からの観光客や留学生などが増える中、飲食店ほかが基準の穏やかなハラール認証を求め多発されているため、2014年9月、観光庁では翌年3月までに実態を調査する方針を打ち出した。

(2014-9-8)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android