改訂新版 世界大百科事典 「マダケ」の意味・わかりやすい解説
マダケ (真竹)
Phyllostachys bambusoides Sieb.et Zucc.
イネ科タケ類のうち,用途の最も広いタケ。たけのこに苦みがあるので,ニガタケ(苦竹)ともいう。また鹿児島地方ではカラタケとも呼んでいる。なお,中国で苦竹と書くのはメダケ属のもので,マダケは剛竹と呼ぶ。
稈(かん)の最大の直径20cmぐらい,高さ20m。節の部分は2環状になる。葉はモウソウチクよりも大きく,肩毛が直角につく。竹の皮に暗褐色の大きな斑紋のあることが特徴である。一定の周期で開花するが,花はモウソウチクに似ておしべは3本。1965年ころ,全国的に開花・枯死した。青森県を北限として全国的に広く栽培されている。面積は大開花前には全竹林の70%を占めていたが,開花して枯死後には50%ぐらいに減っている。中国大陸では主として浙江省に分布し,面積は全竹林の15%ぐらい。韓国にも中南部にはある。用途は広く,とくに工芸品にはマダケが最適である。竹の皮は版画用バレンに最も適し,包み用にも広く用いられる。マダケは水はけのよい,やや日陰地を好む。広く栽培され,多くの品種が記録されている。カシロダケ(皮白竹)cv.Kashirodakeはマダケによく似るが,竹の皮の斑紋の色がうすく美しい。一斉的な大開花・枯死が1917年ころにおきた。主産地は福岡県八女郡。キンメイチク(金明竹)cv.Castillonisは,黄金色の稈に緑色のすじが,葉には白いすじがある。オウゴンチク(黄金竹)cv.Holochrysaは前者に似るが,稈も枝も全面が黄金色で,緑色の縦すじがない。ギンメイチク(銀明竹)cv.Castilloni-inversaは稈に黄色のすじがある。シボチク(皺竹)cv.Marliaceaは稈に縦しわが交互にあらわれる。茶杓(ちやしやく)用として珍重される。
執筆者:上田 弘一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報