制の詞(読み)セイノコトバ

デジタル大辞泉 「制の詞」の意味・読み・例文・類語

せい‐の‐ことば【制の詞】

歌学で、聞きづらいとか、特定歌人が創作した表現であるなどの理由で、用いてはならないと禁止した言葉。禁の詞。制詞

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精選版 日本国語大辞典 「制の詞」の意味・読み・例文・類語

せい【制】 の 詞(ことば)

  1. 歌学で、聞きづらいとか、耳馴れないとか、特定の個人が創始した表現であるなどの理由から、和歌を詠むに当たって用いてはならないと禁止したことば藤原為家の「詠歌一体」で説いているが、同様の考えはそれ以前の歌合判詞や歌論書に見出され、俳諧にもある。禁制歌詞。禁のことば。制詞。
    1. [初出の実例]「制のこと葉といひて『うつるもくもる』『我のみ知りて』などいひ出したる一句名哥を」(出典:正徹物語(1448‐50頃)上)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「制の詞」の解説

制の詞
せいのことば

制禁の詞・禁制詞とも。歌論用語。中世歌学で使用を制限・禁止した語句総称。藤原為家の「詠歌一体」が,特定歌人が創出した個性的な秀句的表現を「主ある詞」として尊重し,後人が安易に模倣・濫用するのを戒めたことに始まる。為家没後,藤原俊成・定家・為家の御子左(みこひだり)家3代の歌合判詞(うたあわせはんし)・百首歌の評語などから,詠作を禁じた語句の実例根拠が集成され,それを総称するものへとかわった。

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