剣菱(読み)けんびし

精選版 日本国語大辞典 「剣菱」の意味・読み・例文・類語

けん‐びし【剣菱】

〘名〙
紋所の名。菱形四隅剣先の形にとがらせたもの。
※浮世草子・本朝桜陰比事(1689)四「亭主のかたきぬ三星小紋の花色に、剣菱(ケンヒシ)定紋まぎれなければ」
摂津国兵庫県)伊丹から産する上等の酒の銘柄酒樽に剣菱の紋標があった。江戸時代最も賞味され、将軍の御膳酒にもなったもの。
黄表紙・夢中の印噺(1780)「剣菱(ケンビシ)一樽出して飲ませければ」
③ 剣菱の模様のある薦(こも)。剣菱②の酒薦乞食などの被るものとされた。
洒落本・雲井双紙(1781)「其罪めぐり来て、けんびしの上み下に、梅干桶茶の湯をし」

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デジタル大辞泉 「剣菱」の意味・読み・例文・類語

けん‐びし【剣×菱】

紋所の名。菱形の四隅を剣先の形にとがらせたもの。
兵庫県伊丹いたみに産する酒の銘柄。江戸時代には将軍の御膳酒にもなった。剣菱の紋所を商標とする。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「剣菱」の解説

けんびし【剣菱】

兵庫の日本酒。酒名は、不動明王が持つ降魔(ごうま)の剣の剣身と鍔(つば)の形に由来。5年以上熟成させた純米酒「瑞祥黒松剣菱」、純米酒「瑞穂黒松剣菱」、本醸造酒「極上黒松剣菱」「黒松剣菱」「剣菱」がある。原料米は山田錦、愛山など。仕込み水は灘の宮水。蔵元の「剣菱酒造」は永正年間(1504~21)にはすでに酒造業を営んでいたが、確かな創業年は不明。所在地は神戸市東灘区御影本町。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

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