ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平沢貞通」の意味・わかりやすい解説
平沢貞通
ひらさわさだみち
[没]1987.5.10. 東京
帝銀事件死刑囚,画家。著名なテンペラ画家として活躍していたが,1948年帝国銀行の東京・椎名町支店で行員 12人が毒殺され,18万円余りが奪われる事件 (帝銀事件) が発生,その容疑者として逮捕された。 34日間の厳しい取り調べを受けて一度は自白したが,公判では一貫して無実を主張。物的証拠がないまま,1955年に最高裁判所の上告棄却で死刑が確定した。弁護側は冤罪を主張し,判決に疑問をもった政治家や文化人,法曹関係者が「平沢貞通氏を救う会」を結成して救援運動を続けたが,18回におよぶ再審請求 (→行政不服審査法 ) ,5回の恩赦出願もかなわず,逮捕以来 39年,95歳で獄死する。死後,遺族から 19回目の再審請求が出された。
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