代表的なテルペンアルコールの一つ。リナロオールともいう。3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール。無色の液体で,比重d15=0.865,沸点198℃,引火点78℃。水に微溶,アルコールとプロピレングリコールに易溶,油に混和する。リナロールにはα形,β形があり,天然に産出するものはほとんどβ形である。また光学活性があり,l-体(左旋性)はホウショウ(芳樟)油,ボアドローズ油,リナロエ油などに,d-体(右旋性)はコリアンデル油に含有される。dl-体(ラセミ体)は合成される。ユリ,スズラン様の香気をもち,各種花精油の調合,化粧品香料,食品香料としても広く用いられる。リナロールのエステルはラベンダー油,ベルガモット油,プチグレン油などの主成分である。リナロールはホウショウ油,ボアドローズ油,リナロエ油などの精油から蒸留して採取される。合成法にはβ-ピネンを熱分解してミルセンを経ての合成法,アセチレンとアセトンを出発原料とする方法,イソプレンに塩酸を作用させ塩化プレニルとし,それを中間原料とする方法などが知られている。
執筆者:内田 安三
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リナロール
分子式 C10H18O
分子量 154.3
融点 ―
沸点 198℃
比重 0.8550(測定温度30℃)
屈折率 (n) 1.4636
引火点 78℃
旋光度 [α]+19.3°
鎖状モノテルペンに属するアルコールの一つ。スズランに似た香気を有する無色の液体である。ブラジル産ボアドローズ油、台湾産芳油、国産芳樟(ほうしょう)葉油中に80%以上含有されており、これらから蒸留によって得られるリナロールは、それぞれ独特の香調を有している。合成リナロールはα‐ピネンより製造されるもの、アセトンとアセチレンとから製造されるもの、およびイソプレンから製造されるものであり、量的には合成リナロールが大半を占めている。各種調合香料に広く用いられる。また、ベルガモット油やラベンダー油の代用品として重要な酢酸リナリルの製造原料となる。さらに、ビタミンEの中間原料であるイソフィトールの合成原料としても大量に使用されている。
[佐藤菊正]
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…とくにダマスクバラは芳香がよく,現在でも用いられている。主成分としてはゲラニオールgeraniol,シトロネロールcitronellol,フェニルエチルアルコール,ネロールnerol,リナロールlinaloolなどを含む。種や品種によって芳香はさまざまに異なり,ローザ・モスカータは麝香(じやこう)に似た香り,ティー・ローズは紅茶の香り,また果実や薬味風の香りをもつもの,葉にニッケイのようなにおいのあるバラなどがあり,微量精油成分も少しずつ違う。…
…とくにダマスクバラは芳香がよく,現在でも用いられている。主成分としてはゲラニオールgeraniol,シトロネロールcitronellol,フェニルエチルアルコール,ネロールnerol,リナロールlinaloolなどを含む。種や品種によって芳香はさまざまに異なり,ローザ・モスカータは麝香(じやこう)に似た香り,ティー・ローズは紅茶の香り,また果実や薬味風の香りをもつもの,葉にニッケイのようなにおいのあるバラなどがあり,微量精油成分も少しずつ違う。…
※「リナロール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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