成長因子(読み)セイチョウインシ(その他表記)cell growth factor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「成長因子」の意味・わかりやすい解説

成長因子
せいちょういんし
cell growth factor

微量で細胞の成長・増殖を促進する一群物質。細胞成長因子,細胞増殖因子,あるいは単に増殖因子とも呼ばれる。医学バイオテクノロジー関係ではおもに動物細胞の成長因子をさす。日本組織培養学会ではこれを細胞成長因子と呼び「in vitro (人工的な環境での反応系) in vivo (生体内での反応系) において動物細胞の成長を促進するもので,栄養物質ではないもの」と定義している。おもな成長因子としては,成長ホルモン,T細胞増殖因子 (インターロイキン2) ,B細胞増殖因子,エリスロポエチン (造血因子) ,コロニー刺激因子,神経成長因子,インスリン様増殖因子,上皮細胞成長因子などがある。これらのなかにはすでにバイオテクノロジーにより医薬品として商品化されたものも多い。また,増殖因子もしくは細胞側の増殖因子レセプターが癌遺伝子となりうることが明らかになっている。

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百科事典マイペディア 「成長因子」の意味・わかりやすい解説

成長因子【せいちょういんし】

広義には細胞や組織の成長を促進する作用をもつ物質(栄養因子やホルモンなどを含む)の総称だが,細胞の成長・分化・増殖を促進するシグナル物質(増殖因子あるいは細胞増殖因子)の意に用いることが多い。多くはペプチドないしタンパク質で,発生・分化に重要な意義をもつと考えられ,発癌機構との関連を含め,その受容体などが盛んに研究されている。交感神経節神経細胞などの分化成長を促進する神経成長因子(NGF),上皮系細胞の増殖・分化を促進する上皮増殖因子EGF),繊維芽細胞増殖因子(FGF),肝細胞増殖因子(HGF),骨形成タンパク質(BMP),T細胞増殖因子など。

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化学辞典 第2版 「成長因子」の解説

成長因子
セイチョウインシ
growth factor

動物細胞の増殖を促進する物質(栄養素は含めない).細胞膜表面の受容体を介して細胞に増殖シグナルを送る.成長ホルモンや上皮成長因子epidermal growth factor(EGF),血小板由来成長因子platelet-derived growth factor(PDGF)など多数存在する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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