獅子吼(読み)シシク

デジタル大辞泉 「獅子吼」の意味・読み・例文・類語

しし‐く【×獅子×吼】

[名](スル)
雄弁をふるうこと。意気盛んな大演説をすること。「壇上獅子吼する」
仏の説法獅子がほえて百獣を恐れさせるように、悪魔・外道げどうを恐れ従わせるところからいう。

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精選版 日本国語大辞典 「獅子吼」の意味・読み・例文・類語

しし‐く【獅子吼・師子吼】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。獅子がほえること。〔維摩経‐上〕
  3. 仏語。仏の説法。自信に満ち、一切をおそれさせ承伏させるところからいう。
    1. [初出の実例]「大師釈尊の師子吼の転法輪なりといへども、一切諸仏・一切祖師の頂眼睛なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)仏性)
    2. [その他の文献]〔無量寿経‐上〕
  4. 真理、正道を説いて異端、邪説を喝破すること。熱弁をふるって正論を説くこと。大演説をすること。
    1. [初出の実例]「師子吼者、自宣大理怖畏」(出典:勝鬘経義疏(611)序)
    2. 「ニイチェの強い大きな獅子吼(シシク)」(出典:東京の三十年(1917)〈田山花袋〉丸善の二階)
    3. [その他の文献]〔白居易‐三教論衡・第一座序〕
  5. ( 中国、宋の蘇軾(そしょく)が呉徳仁に寄せた詩で、陳季常の妻の嫉妬深さを「河東の獅子吼」といったところから ) 嫉妬深い妻が夫にがみがみいうこと。

獅子吼の補助注記

梵語シンハナーダ(simhanāda)の訳で、仏陀の説法が、異教の徒を怖れさせるさまを、獅子が吼えると他の動物がそれに従うさまにたとえたもの。

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故事成語を知る辞典 「獅子吼」の解説

獅子吼

雄弁を振るうこと。意気盛んな大演説をすること。

[使用例] 長い政治経歴の間、演説で論争で獅子吼を続け、つぶれ、きたえ上げられた声だ[小松左京日本沈没|1973]

[由来] 仏教経典で、非常によく使われている表現。たとえば、「法華経かんほん」には、たくさんの菩薩たちが仏の前で「師子吼(「師子」は「獅子」と同じ。ライオンがほえるように力強いことばで弁じること)」して誓いを立てる場面があります。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「獅子吼」の意味・わかりやすい解説

獅子吼
ししく
siṃhanāda

釈尊が説法する様子を獅子のほえる様子にたとえたもの。釈尊が大衆に恐れることなく説法することをいう。漢訳仏典では「師子吼」と書くのが通例である。

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