翻訳|cut-off
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
中部対流圏から上空で偏西風の南北にゆれる波動の振幅が局地的に強まり,変形し,ついに上空のジェット流の平均位置よりも南に低気圧,北に高気圧ができる。この現象をカットオフという。切離(せつり)とも呼ぶ。こうして西風の主流から離れ,通常の配置(西風の主流の南に高気圧,北に低気圧)と逆の配置になった上空の高・低気圧をそれぞれカットオフ高気圧,カットオフ低気圧と呼ぶ。カットオフは上空の流れの変形を指すもので,その経過を付図で説明する。図1の実線が初めの上空の流れを示す。北から南下する寒気の下層部分がつよく発散し沈降すると,これを補償する収束が中・上層の流れにおこる。この結果,中・上層の流れは図1の破線に変わり,低気圧性の曲率が強まり,その東側では気流は前より北上する。これが流れの高気圧性曲率を増やし,北方に高圧部が広がる。この過程が強まると図2の破線のように,北方に上空の高気圧,南に上空の低気圧ができる。ここで前者は相対的に暖かい空気,後者は寒冷な空気から成る。この経過に伴って地表ではカットオフ高気圧に対して弱い高気圧,カットオフ低気圧に対して弱い低気圧ができるようになる。ブロッキングとともに特にカットオフ高気圧が強化する。カットオフは地域的に限られているが,この変動が風上に伝わることが多い。カットオフ高・低気圧は比較的長く持続し停滞する。カットオフ高気圧の真下では雨の乏しい天候が続き,カットオフ低気圧の南西象限の下では雨天が続いたり,大雨や大雪がおきたりする。
執筆者:斎藤 直輔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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