精選版 日本国語大辞典 「クメン」の意味・読み・例文・類語
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イソプロピルベンゼン,クモールともいう。芳香族炭化水素の一つ。天然には,植物精油(クミン油)中に,また石油中に存在するが,これらからの分離は困難である。無色透明の液体で,融点-96.02℃,沸点152.39℃。クメンは,重要な有機工業化学製品の一つであり,ベンゼンとプロピレンから,酸触媒(液相法では硫酸あるいは塩化アルミニウム,気相法ではリン酸-担体)を用いて製造される。クメンを原料として,いわゆるクメン法により,フェノール(石炭酸)とアセトンが製造される。この方法は,クメンを酸素で酸化しクメンヒドロペルオキシドとし,これを酸触媒で分解するもので,得られる生成物のフェノールは数工程を経てナイロン6の原料に,またアセトンも重要な合成樹脂製造原料であるメタクリル酸メチルに変換される。
執筆者:村井 真二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
isopropylbenzene.C9H12(120.19).C6H5CH(CH3)2.はじめクミン酸(p-イソプロピル安息香酸)を石灰と蒸留して得られたのでこの名称がある.現在は,ベンゼンにプロペンをフリーデル-クラフツ反応させて製造される.沸点153 ℃.0.8620,1.489.各種有機溶剤とまざる.クメン法によるフェノール,アセトン製造の中間製品として利用される.[CAS 98-82-8]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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