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フェノール フェノール phenol

翻訳|phenol

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フェノール
フェノール
phenol

(1) 石炭酸ともいう。ベンゼン水素原子1個を水酸基で置換した構造をもち,C6H5OH で表わされる。コールタールを分留して得られるフェノール油の主成分である。特有の臭気をもつ無色の結晶。

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デジタル大辞泉の解説

フェノール(phenol)

ベンゼン環ナフタレン環などに水酸基が直接結合した化合物の総称。
ベンゼン水素原子1個が水酸基置換された化合物コールタール石油の分留によって得られる、独特の臭気のある無色の結晶。消毒殺菌剤や染料などの合成原料として使用。化学式C6H5OH 石炭酸。ヒドロキシベンゼン。

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百科事典マイペディアの解説

フェノール

(1)ベンゼン環の水素1原子が水酸基に置換された化合物C6H5OH。石炭酸とも。特異臭のある無色の結晶。融点40.8℃,沸点182.2℃。水に可溶,エチルアルコール,エーテルなどに易溶。
→関連項目アルコール殺菌剤石炭化学染料ベークライト

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栄養・生化学辞典の解説

フェノール

 C6H6O (mw 94.11).

 石炭酸ともいう.ヒドロキシル基の水素が解離して酸の性質を示す.

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世界大百科事典 第2版の解説

フェノール【phenol】

芳香族性の環(ベンゼン環,ナフタレン環など。Arと略記)の水素原子が水酸基に置換された化合物を一般にフェノール類といい,ArOHで表す。狭義には後述の石炭酸をフェノールという。
【フェノール類】
 水酸基の数により1価フェノール,2価フェノール,3価フェノールのように呼び,2価以上をまとめて多価フェノール(またはポリフェノール)と総称する。フェノール類はコールタール,粗製の石油に含まれるほか,植物精油中にも含まれている(たとえばカルバクロール,チモールカテコールなど)。

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大辞林 第三版の解説

フェノール【phenol】

特異な臭においのある、無色または白色の、針状結晶または結晶性のかたまり。水に少し溶け、弱い酸性を示す。化学式 C6H5OH コールタールの分留により、またはベンゼンを原料とする化学合成によって得る。防腐剤・消毒殺菌剤とするほか合成樹脂や染料・爆薬など種々の化学工業の重要原料。石炭酸。
芳香族化合物で、ベンゼン環に結合した水素原子がヒドロキシル基で置換されたものの総称。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フェノール
ふぇのーる
phenol

ベンゼンなどの芳香環にヒドロキシ基が結合した化合物を一般にフェノール類といい、ArOHの一般式で表す(Arはベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環)。また、そのもっとも簡単な化合物であるヒドロキシベンゼン、すなわちベンゼンの水素原子1個がヒドロキシ基で置換された化合物をフェノールという(以下、とくに断らない限り、フェノールと記すときはつねにフェノール類をさす)。しかし、ナフタレンフェナントレンのような芳香族縮合多環炭化水素にヒドロキシ基が直接結合した化合物はそれぞれナフトールやフェナントロールのようによばれることが多い。[徳丸克己]

フェノール類

芳香環にヒドロキシ基が1個置換したフェノールを一価フェノールという。
 カテコール、レゾルシン、ヒドロキノンのように芳香環に2個のヒドロキシ基の置換したフェノールを二価フェノール、また、ピロガロールのように芳香環に3個のヒドロキシ基の置換したフェノールを三価フェノールとよび、これらを総称して多価フェノールという。
 フェノールには単にヒドロキシ基が芳香環に置換しているだけでなく、メチル基などのアルキル基やニトロ基などがさらに置換した化合物もあり、クレゾールやニトロフェノール、ピクリン酸などはこのようなフェノールの例である。
 フェノールのもっとも簡単な化合物であるヒドロキシベンゼンは、1834年ドイツのF・F・ルンゲによって、石炭を乾留して得られるコールタールから分留された酸性の物質として得られ、石炭酸(ドイツ語でKohlensure)と名づけられた。その後この化合物は1848年にフントH. Huntによって初めてアニリンから合成された。[徳丸克己]

製法

フェノール(ヒドロキシベンゼン)は、かつてはコールタールから分留によって製造されたが、石油化学工業の発展に伴い、現在はもっぱら石油から得られるベンゼンを原料として製造される。なかでもベンゼンを濃硫酸によりベンゼンスルホン酸とし、そのナトリウム塩を水酸化ナトリウムとともに溶融して製造する方法は古くから行われているものである。また、ベンゼンをプロピレンと反応させてイソプロピルベンゼン、すなわちクメンとし、これを空気酸化してそのヒドロペルオキシドとし、ついでこれを酸で処理してフェノールとアセトンを製造するクメン法とよばれる方法は、石油化学工業により盛んとなったものである。
 このほか、ベンゼンを塩素化してクロロベンゼンとし、これを高温高圧下で水酸化ナトリウム水溶液により加水分解する製造法、ベンゼンを触媒存在下塩化水素と空気によりクロロベンゼンとし、さらに高温で水蒸気により加水分解する製造法、またトルエンの酸化による製造法などがある。[徳丸克己]

性質と用途

フェノールは、一般にそのヒドロキシ基が水素で置換された炭化水素に比べて沸点がかなり高い。また、炭素数の少ないフェノールや多価フェノールは、水にもある割合で溶ける。フェノールのヒドロキシ基はアルコールのヒドロキシ基とは異なり酸性を示すが、一般に酢酸などのカルボン酸よりは酸性がはるかに弱い。フェノールの多くは塩化鉄()水溶液により特有の呈色反応を示す。たとえば、フェノール(ヒドロキシベンゼン)そのものは紫色を、また、クレゾールは青色を、サリチル酸は紫色を呈する。ヒドロキノンなどの多価フェノールはとくにアルカリ水溶液では空気中の酸素により容易に酸化される。フェノールは一般に臭素の水溶液の作用により芳香環が臭素化され水に不溶性の沈殿を生ずる。
 アルデヒドとは容易に縮合反応をおこす。たとえば、フェノール(ヒドロキシベンゼン)とホルムアルデヒドでは、反応条件を選ぶと、2分子のヒドロキシベンゼンが1分子のホルムアルデヒドと反応して水1分子が脱離し、2個のヒドロキシベンゼンの芳香環がメチレン基で縮合した化合物を与え、この反応が繰り返されると、高分子量のフェノール樹脂を生ずる。
 一般にフェノールは、そのヒドロキシ基が水素で置換された化合物に比べて、種々の試剤に対して反応性が高い。たとえば、芳香族ジアゾニウム塩とは容易に反応して、カップリング反応によりアゾ化合物を生ずる。
 フェノールはラジカルに対して反応性が高いので、各種の有機化合物や高分子物質の自動酸化において抗酸化剤として作用し、また生体における酸化による老化を阻害する。たとえば、フェノールの一種であるBHTやトコフェノールは、そのような抗酸化剤の例である。
 フェノール(ヒドロキシベンゼン)はフェノール樹脂をはじめポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂などの各種の合成樹脂や医薬品工業の原料、さらにノニルフェノールのような洗剤や各種の染料の原料として利用される。強力な殺菌効果があるが、皮膚につくと腐食性を示すので注意を要する。[徳丸克己]

ヒドロキシベンゼン

狭義のフェノールで、特有の臭気をもつ無色の結晶である。常温の水にはいくらか溶けるが、65.3℃以上では水と任意の割合で混ざり合う。またエタノール(エチルアルコール)、ジエチルエーテルなどによく溶ける。[徳丸克己]

医薬用

殺菌消毒薬。腐食作用があり、皮膚につけると白くなる。日本薬局方には、フェノールのほか、液状フェノール、消毒用フェノール、フェノール水、消毒用フェノール水が収載されている。消毒用には1~5%の溶液が用いられる。消毒用のほか、保存剤としても用いられる。また、弱い知覚麻痺(まひ)作用を有するところから、痛み、かゆみを止める目的でも配合される(フェノール・亜鉛華リニメント)。そのほか、製剤には、歯科治療に用いられる歯科用フェノール・カンフルや、水虫、たむしなど白癬(はくせん)菌の感染症に用いられるヨード・サリチル酸・フェノール精、複方サリチル酸精などがある。[幸保文治]

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世界大百科事典内のフェノールの言及

【局所麻酔薬】より

…これらコカインおよびコカイン代用薬が狭義の局所麻酔薬であり,真性局所麻酔薬とも呼ばれるが,次のようなものも広義には局所麻酔薬に含まれる。すなわち,(1)エーテル,クロロホルムなど本来は全身麻酔薬であるが局所麻酔作用を有するもの,(2)疼痛性麻酔薬 石炭酸(フェノール),メントール,キニーネなど局所に投与すると,初めは知覚神経刺激による疼痛を生ずるが,後に麻痺を起こすもの,(3)寒冷麻酔薬 沸点の低いエーテル,クロロホルム,クロルメチルなど気化熱を奪うことによって局部凍結をきたし知覚を鈍化させるもの,などである。麻酔【福田 英臣】。…

【クメン】より

…クメンは,重要な有機工業化学製品の一つであり,ベンゼンとプロピレンから,酸触媒(液相法では硫酸あるいは塩化アルミニウム,気相法ではリン酸‐担体)を用いて製造される。クメンを原料として,いわゆるクメン法により,フェノール(石炭酸))とアセトンが製造される。この方法は,クメンを酸素で酸化しクメンヒドロペルオキシドとし,これを酸触媒で分解するもので,得られる生成物のフェノールは数工程を経てナイロン6の原料に,またアセトンも重要な合成樹脂製造原料であるメタクリル酸メチルに変換される。…

【殺菌剤】より

…今日ではほとんどこの方法で殺菌効力が判定されており,さらに浮遊菌法の一方法である石炭酸係数測定法が現在広く世界中で用いられている。これは石炭酸(フェノール)を標準として他の殺菌剤の力価を表示するものであるが,化学構造がまったく違う殺菌剤の評価には問題があるとされている。創傷用の殺菌剤の効果判定には原因菌の発育阻止力で行うこともあり,最小発育阻止濃度minimum inhibitory concentration(MICと略す)で表示することが多い。…

※「フェノール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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