出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
佐賀県中央部の市。1954年小城(おぎ)郡の北多久町と東多久,西多久,南多久,多久の4村が合体,市制。人口2万1404(2010)。市域は有明海斜面北西部にある多久盆地を中心に広がり,中央を六角(ろつかく)川の支流牛津川が東・南流する。市の中心部をJR唐津線と国道203号線がほぼ東西に通り抜ける。古代の高来(たく)郷の地で,官道の高来駅も置かれた。江戸時代は佐賀藩鍋島氏の親類同格多久氏の領地で,中心は牛津川沿いの御構内(ごこうない)であった。明治以降は石炭採掘が盛んとなり,とくに第2次世界大戦後には三菱古賀山,明治佐賀などの大手炭鉱が開発され,JR多久駅,中多久駅付近の北多久町小侍(こざむらい)が中心部となった。しかし炭鉱不況のため1955年以降相次いで閉山し,72年にはすべて姿を消した。炭鉱跡に20社余の企業を誘致したが,さらに米作,特産のミカン,ビワなどをはじめとする農業の近代化とあわせて,田園工業都市を目ざしている。87年完成の長崎自動車道多久インターチェンジへの期待も大きい。天山(てんざん)と八幡(はちまん)岳の両県立自然公園に囲まれ,1708年(宝永5)に建立された孔子をまつる多久聖廟(史跡・重要文化財)は,春秋に伝統的な祭儀である釈菜(せきさい)が行われる。くど造りの川打家住宅(重要文化財),多久系古唐津の窯跡である保四郎窯跡(県史跡)などがある。
執筆者:川崎 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新