孤立国(読み)こりつこく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「孤立国」の意味・わかりやすい解説

孤立国
こりつこく

ドイツの経済学者チューネン著書。正式には『農業国民経済との関係における孤立国』Der isolierte Staat in Beziehung auf Landwirtschaft und Nationalökonomieといい、1826年に刊行された。彼は父の農場で働きながら農業の実際を経験し、また1810年には自分の農場を入手し、これを実際に経営しながら、この本をまとめた。「孤立国」は、ある大都市から一定距離にある農村を仮定し、さまざまな思考実験を行って、農業経営についての論理を追究したものである。きわめてユニークな本で、資本労働の関係についての利益配分の論理を導入するなど、近代的な発想がみられる。

[福島要一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「孤立国」の意味・わかりやすい解説

孤立国
こりつこく
isolated state

1826年 J.チューネンが農業経営の立地を考えるにあたってつくった仮想の国。彼は他の国々とはまったく分離し,それらの影響がまったくない孤立した国を想定し,その国の中心に農産物の消費市場である都市をおき,その周辺平野の農村が,都市 (市場) からの距離に応じて,農業経営の型がどのように変ってゆくかを考えた。すなわちこの孤立国によって農業経営における立地条件農業地域圏構造を明確に描いた。

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