書面審理(読み)ショメンシンリ

デジタル大辞泉 「書面審理」の意味・読み・例文・類語

しょめん‐しんり【書面審理】

裁判所訴訟審理口頭によらず、書面によって行うこと。裁判所以外の行政官庁が書面の提出を求めて判断を下す場合にもいう。

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精選版 日本国語大辞典 「書面審理」の意味・読み・例文・類語

しょめん‐しんり【書面審理】

〘名〙 裁判所が口頭弁論によらないで、主として書面に基づいて事件を審理すること。また、その審理。口頭審理に対するもの。
※会計検査官懲戒法(明治三三年)(1900)二六条「懲戒裁判所被告の申立に因り書面審理を為すことを得」

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改訂新版 世界大百科事典 「書面審理」の意味・わかりやすい解説

書面審理 (しょめんしんり)

民事刑事の裁判または行政上の争訟において,弁論および証拠調べを書面で行う制度をいい,口頭審理に対する概念である。フランス革命後は裁判の公開という要請から,必然的に口頭主義が訴訟審理の原則とされ,新鮮な印象を与えることができ,臨機応変の釈明に便利であるなどの長所があるといわれてきた。しかし,口頭審理では脱落が生じたり,複雑な事案や精緻な理論を展開する場合に,不向きであるなどの短所がある。そこで法は口頭審理を原則としながらも,大幅な書面審理を認めている(民事訴訟法87条1項,252条,161条,203条,205条。刑事訴訟法291条1項,293条,296条,305条,321~328条等)。書面審理の方法にもいろいろあり,手続全体を書面審理とする督促手続があるのに対し(民事訴訟法382~397条),証拠調べを原則として書証に限ると制限した手形小切手訴訟(手形訴訟)がある(同352条)。これに対し行政不服申立て(行政不服審査)の場合は,書面審理を原則とし,申立てがあったとき口頭による意見陳述の機会を与えなければならないとしている(行政不服審査法25条1項)。
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