大正・昭和の彫金家。水戸金工の名工といわれた海野勝珉(しょうみん)の四男として東京に生まれる。父が教授であった東京美術学校金工科を卒業。初めは正倉院宝物にみられるペルシアや唐の影響を受けた天平(てんぴょう)期の工芸を理想としたが、1932年(昭和7)東京美術学校の教授に任ぜられた直後、フランスに留学してからは古代エジプト芸術に感化され、日本の伝統技術と西欧の造形や題材を巧みに融合したものを創作して、当時の工芸界に新傾向を示した。55年(昭和30)重要無形文化財に認定された。代表作に初期の鸚鵡小禽葡萄文(おうむしょうきんぶどうもん)箱(東京国立博物館)、後期に青銀花器などがある。
[原田一敏]
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