珍島(読み)ちんとう

百科事典マイペディア 「珍島」の意味・わかりやすい解説

珍島【ちんとう】

韓国,全羅南道南西端の島。朝鮮半島第3番目の島である。南東は尖察山(485m),女貴山(457m)などの山地。南西方は低い丘陵状をなす。麦,アワなどを産する。林業,水産業,ノリ養殖が盛ん。石材,ケイ砂や漢方薬の枸杞(くこ)子などを特産する。臭覚が鋭敏な珍島犬産地としても知られる。13世紀モンゴルの侵入の際に,高麗王朝の精鋭部隊三別抄が立て籠もって抵抗戦を闘い,1271年にはここから鎌倉幕府モンゴル襲来の危機を知らせ救援を求める書状を出したが,幕府は書状の意味を理解できず,放置した。観潮で有名な鳴梁海峡一帯は,文禄の役で李舜臣の韓国水軍が日本水軍を全滅させた場所としても有名。本土との間は珍島大橋でつながっている。334km2。珍島郡の人口は3万2000人(2005)。
→関連項目三別抄セウォル号沈没事件

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改訂新版 世界大百科事典 「珍島」の意味・わかりやすい解説

珍島 (ちんとう)
Chin-do

韓国,全羅南道に属し,朝鮮半島の南西端に面する島。半島部の花原半島とは幅わずか400m余の鳴梁海峡を隔てるだけで,現在は架橋されている。面積334km2で韓国第3位の島。低い山地で覆われ,大部分林野となっているが,田畑おのおの5000haほどあり,人口4万7262(1995)の大半農業に従事する。際だって臭覚が鋭敏な珍島犬の産地として知られている。また,潮流の速い鳴梁海峡一帯は壬辰倭乱(文禄の役)で李舜臣の水軍が大勝したところである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「珍島」の意味・わかりやすい解説

珍島
ちんとう / チンド

韓国(大韓民国)南部、全羅南道南西部にある島。面積333.4平方キロメートル。花原半島までは400メートル幅の鳴梁(めいりょう)海峡に橋が架けられている。大部分が林野だが、田・畑それぞれ5000ヘクタール程度があり、住民6万余の大半が農業に従事する。韓国固有の在来種「珍島犬」の産地としても有名である。鳴梁海峡一帯は潮流が速く、文禄(ぶんろく)・慶長の役(壬辰(じんしん)・丁酉(ていゆう)倭乱(わらん))では李舜臣(りしゅんしん)の水軍が日本軍に対し大勝をあげた所である。

[森 聖雨]

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