能ある鷹は爪を隠す(読み)ノウアルタカハツメヲカクス

デジタル大辞泉 「能ある鷹は爪を隠す」の意味・読み・例文・類語

のうあるたかつめかく

実力のある者ほど、それを表面に現さないということのたとえ。
[補説]「脳ある鷹」と書くのは誤り。
[類語]上手の猫が爪を隠す飛鳥ひちょうつや其の首を良賈りょうこは深く蔵してむなしきが如し大賢たいけんなるが如し大知たいちは愚の如し大巧たいこうせつなるが如し大弁だいべんとつなるが如し大勇たいゆうきょうなるが如し

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精選版 日本国語大辞典 「能ある鷹は爪を隠す」の意味・読み・例文・類語

のう【能】 ある鷹(たか)は爪(つめ)を隠(かく)

本当に力のあるものは、みだりにそれをひけらかすようなことはしないというたとえ。能ある猫は爪を隠す。〔北条氏直時代諺留(1599頃)〕

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ことわざを知る辞典 「能ある鷹は爪を隠す」の解説

能ある鷹は爪を隠す

本当に有能な者は、偉そうなことを言ったり、むやみに能力をひけらかしたりしないというたとえ。

[使用例] 「やっぱりそれじゃあ、なんでござんすかな、道庵先生は柔術の方もちゃあんと心得ているのでございますかな」
 「そこがそれ、能ある鷹は爪を隠すと言うんで、先生、ああしてしらばっくれて酔っぱらっているけれど、武芸十八般ことごとく胸へ畳み込んでいる」[中里介山大菩薩峠|1913~41]

[使用例] このねんじょにしても、マイタケにしても、タヌキわなかけにしても、かあちゃんはたいそうな眼ききで、秘めたるらつわんの持ち主だが、能あるタカは何とやらで、どこでどうやってとってきたのとたずねると、明るいまなざしは明るいままで、〈略〉話題をにわかにもうろうとそらせてしまうのが上手である[開高健*開口閉口|1976]

[解説] 裏を返すと、たいした能力のない者にかぎって、ふだんから偉そうなことをいったり、弱い者には力を誇示したりする、ということになります。優れた能力を持つ者が日常生活では慎み深くふるまうことを称賛する一方で、空いばりする者を暗に批判する表現ともいえるでしょう。
 比喩に「鷹」が出てくる背景には、古くから公家武家の間で好まれてきた鷹狩りがありました。鷹はすぐれた狩猟能力を発揮するだけでなく、「鷹は飢えても穂を摘まず」といわれ、誇り高く威厳のある猛禽とされてきました。また、「とびが鷹産む」といえば、凡庸な親に優秀な子どもが生まれるたとえです。なお、鷹が「爪を隠す」というのは、爪がまったく見えないように隠すということではなく、むやみに爪を立てて相手を威嚇しない意です。

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