雑仕(読み)ゾウシ

デジタル大辞泉 「雑仕」の意味・読み・例文・類語

ぞう‐し〔ザフ‐〕【雑仕】

平安時代以後、宮中に仕え、雑役や、行幸行啓の供などをした下級女官雑仕女ぞうしめ
女院摂関家その他貴人のやしきで雑役に従事した女性雑仕女
鎌倉・室町幕府で、雑役に従事した下級女官。雑仕女。

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精選版 日本国語大辞典 「雑仕」の意味・読み・例文・類語

ぞう‐し ザフ‥【雑仕】

〘名〙
① 女官の一種朝廷後宮や院御所などで雑役や走り使い・外出への随行などにあたった最下級の女子職員。雑仕女(ぞうしめ)
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「『いとよき御厨子所のざうしなりけり。〈略〉』と聞えたれば、集まりて笑ふ」
※枕(10C終)二七七「台盤所のざふしぞ、御使ひには来たる」
② 公卿家の下級女子職員。雑役・走り使い・外出への随行などにあたった。雑仕女。
古今著聞集(1254)一二「大納言定能卿の家の雑仕を妻にて、夜々は仁和寺へかよひけり」
③ 鎌倉・室町両幕府の下級女子職員。雑役をつとめた。雑仕女。
※近衛家本追加‐(年未詳)(鎌倉)「侍所雑仕小舎人、朝夕雑色、中間、贄殿執当、雑仕、守殿等」
④ (━する) こまごました用事を果たすこと。雑用をすること。また、その人。
言継卿記‐大永七年(1527)正月一一日「白山法印此方事にて、昼夜雑仕候了」
三畳四畳半(1909)〈高浜虚子〉三「母親が雑仕(ザフシ)をして居る間も炬燵に当って平気でゐた」

ざっ‐し【雑仕】

〘名〙
① 宮中や公家武家などで、雑役をつとめる者。ぞうし。
浄瑠璃・富仁親王嵯峨錦(1721頃)五「御随身には膳手(かしはで)織部庁官雑仕(ザッシ)に至る迄、威儀をあらせて相詰めしは、由々しくも亦晴れがまし」
② 明治以降の女官の一つ。雑役に従事する等外の女官。
※太政官第三七〇‐明治四年(1871)七月二四日「雑仕 担当大初位」

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