預金保険制度(読み)ヨキンホケンセイド(英語表記)deposit insurance system

デジタル大辞泉 「預金保険制度」の意味・読み・例文・類語

よきんほけん‐せいど【預金保険制度】

預金保険

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「預金保険制度」の意味・わかりやすい解説

預金保険制度
よきんほけんせいど
deposit insurance system

金融機関が破綻した際に、預金者を保護し、円滑な資金決済を実施して、信用秩序を維持するための保険制度。銀行など預金取扱金融機関が破綻しても、普通預金や定期預金などの一般預金(定期積金、元本補填型の金銭信託などを含む)については、原則預金者1人当り、1金融機関ごとに、元本1000万円とその利息相当額を限度に保護する。当座預金や利息のつかない普通預金などの決済用預金(無利息、要求払い、決済サービス提供の3条件を満たす預金)については全額保護する。一方、外貨預金、譲渡性預金、無記名預金、借名預金、金融債などは保護対象外である。対象となる金融機関は銀行(在日外銀を除く)、信用金庫、信用組合、労働金庫、ゆうちょ銀行などであり、金融審議会は在日外銀を対象に加える方向で検討している。預金保険制度は、政府、日銀、民間金融機関が共同で設立した預金保険機構が運営している。同機構は、民間金融機関から集めた預金保険料(預金残高の0.084%)を基に、破綻金融機関にかわって預金の限度額までの払戻し(ペイオフ)のほか、破綻金融機関への資金援助、不良債権の整理・回収、健全金融機関への資本増強などの業務を担当する。

 預金保険制度は、銀行が次々と破綻して預金者を保護できなかった世界恐慌反省から、1934年にアメリカで連邦預金保険公社FDIC:Federal Deposit Insurance Corporation)が創設されて始まった。その後、ドイツカナダなどで導入が進み、日本も1971年(昭和46)に預金保険機構を設立して、預金保険制度を導入した。バブル経済が崩壊し金融危機が広がった1996年(平成8)以降、日本では破綻金融機関の預金が全額保護された時期もあったが、2005年(平成17)からは一般預金の保護対象を元本1000万円とその利息に限る本来の仕組みに戻された(ペイオフ完全実施)。なお預金保険制度と同様な仕組みに、農協漁協を対象とする農水産業協同組合貯金保険機構生命・損害保険会社を対象とする保険契約者保護機構、証券会社向けの投資者保護基金がある。

[矢野 武 2015年4月17日]

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