預金保険機構(読み)ヨキンホケンキコウ(英語表記)Deposit Insurance Corporation of Japan

デジタル大辞泉 「預金保険機構」の意味・読み・例文・類語

よきんほけん‐きこう【預金保険機構】

昭和46年(1971)預金保険法に基づく特別法人として設立。平成8年(1996)、預金保険法改正等により業務内容を拡充。預金者保護を図るため、金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払と預金等債権の買い取りを行うほか、金融機関の破綻の処理に関し、破綻金融機関に係る合併等に対する資金援助、金融整理管財人による管理、破綻金融機関の業務承継などを行う。預保。→整理回収機構産業再生機構振り込め詐欺救済法

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共同通信ニュース用語解説 「預金保険機構」の解説

預金保険機構

金融機関が破綻した際、保険料で顧客の預金を守る保険制度を運営する。1971年に設立され、政府や日銀、民間金融機関が出資している。銀行や信用金庫信用組合などから預金残高に応じて原資を集め、利子が付く普通預金などに対して元本1千万円までと、その利息を保護している。2010年に破綻した日本振興銀行の処理に関わったほか、旧日本長期信用銀行の破綻に絡み、経営を引き継いだ新生銀行の株式を現在も保有している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「預金保険機構」の意味・わかりやすい解説

預金保険機構
よきんほけんきこう
Deposit Insurance Corporation of Japan

預金者の保護と金融システムの安定などを目的とする預金保険制度を運営するための認可法人。アメリカの連邦預金保険公社FDIC)をモデルに、政府、日本銀行、民間金融機関が1971年(昭和46)に共同出資して設立した。銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などの加入金融機関から保険料を徴収し、破綻(はたん)した金融機関の預金者へのペイオフや破綻機関の業務を引き継ぐ受け皿機関への資金援助を主業務としている。1990年代に入ると、バブル経済の崩壊で金融機関の破綻が急増したため、公的資金の注入などによる資本増強、金融危機時の一時国有化、整理回収機構への出資などの新たな業務が加わった。

 金融機関が破綻した場合、預金保険機構は破綻機関の業務を引き継ぐ金融機関への資金援助か、破綻機関の預金者へのペイオフかの、いずれかコストがかからないほうを選択する。日本では2010年(平成22)に初めて日本振興銀行にペイオフを実施し、資金援助については1992年度(平成4)~2022年度(令和4)に182件、約25.5兆円を実施した。ペイオフ実施の際に、同じ預金者が一つの金融機関に複数の預貯金口座を保有する場合は、それを集約(名寄せ)したうえで、元本1000万円とその利息までを払い戻す(ただし決済用預金や当座預金は全額払戻し)。これを上回る預金額は、金融機関の資産状況に応じて払い戻す。

 1990年代後半からの金融不安に際し、預金保険機構には旧経営陣にかわって破綻機関の業務を運営する金融整理管財人業務、一時的に破綻機関の事業を譲り受けるブリッジバンク(承継銀行)の設立、旧経営陣の責任追及業務などが加わった。また、内閣総理大臣が金融危機と認定した場合には、預金の全額保護、公的資金の注入、一時国有化などの対応ができることになった。さらに、振り込め詐欺救済法(正式名称「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」平成19年法律第133号)に基づく詐欺被害者へ被害金を返還する手続や、休眠預金等活用法(正式名称「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」平成28年法律第101号)に基づく休眠預金の収納・管理業務なども担当している。預金者保護や金融安定化などのため10の独立した勘定を機構内にもち、2023年(令和5)3月末で10勘定の資金調達残高は合計約1.1兆円である。

[矢野 武 2023年12月14日]

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百科事典マイペディア 「預金保険機構」の意味・わかりやすい解説

預金保険機構【よきんほけんきこう】

1971年制定の預金保険法にもとづき,政府,日銀,民間金融機関の共同出資で創設された特別法人。預金者等の保護を図るため,金融機関が倒産などで預金等の払戻しを停止した場合に,保険金等の支払いと預金等債権の買取りを行うほか,破綻金融機関に係わる合併等に対して適切な資金援助等を行う(後者の機能は1986年の法改正で加わった)。銀行等の預金受入機関があらかじめ保険料を積み立てておく。預金の払戻し(ペイオフ)の限度額は預金者1人当り1000万円であるが,その完全実施は2005年4月からとなった。預金保険料は預金残高の0.012%であったが,金融破綻の増加により,1996年度から順次引き上げられ,定期性預金が0.080%,普通預金等が0.090%となった(2004年度)。なお破綻金融機関の続出に対応するため,1998年2月の法改正により本機構に30兆円(国債交付10兆円,政府保証日銀借り入れ20兆円)の資金を供給する体制が整えられ,新たに金融危機管理勘定が設けられた。また保険契約者の保護については,1998年発足の保険契約者保護機構がある。
→関連項目伊予銀行[株]産業再生機構住宅金融債権管理機構整理回収機構

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「預金保険機構」の意味・わかりやすい解説

預金保険機構
よきんほけんきこう
Deposit Insurance Corporation of Japan

預金保険法に基づき預金保険制度の運営にあたる機関。1971年7月,資本金 4億5000万円(政府,日本銀行,民間金融機関が各 1億5000万円出資)で設立された。その後,1986年に法改正され,労働金庫が新たに 500万円出資し加盟した。金融機関からの保険料を積み立て,金融機関が経営破綻した場合,預金者の保護のために金融機関の預金払い戻しの保険を行ない(→ペイオフ),経営破綻した金融機関にかかわる合併に資金援助を行なうことを目的とする。対象となる金融機関は普通銀行,信託銀行,長期信用銀行,相互銀行,信用金庫,信用組合,労働金庫などで,加入は強制である。1996年の法改正により,旧住宅金融専門会社の債権回収をはじめ金融機関の不良債権処理にかかわる業務が特例業務として加わり,さらに 1998年10月の金融再生関連法施行により,1999年4月にはそれまでの住宅金融債権管理機構と整理回収銀行を合併し,整理回収機構を新たに発足させた。(→連邦預金保険公社

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「預金保険機構」の解説

預金保険機構

2005年4月から本格的にスタートしたペイオフ制度の運営主体。設立は1971年。ペイオフ制度に加入している金融機関からの預金保険料などで成り立っている。金融機関の経営破たんに伴う預金者への保険金支払い、破たん金融機関の処理に対する資金援助などが主な役割。預金保険機構の100%出資子会社に「整理回収機構(RCC)」があり、不良債権の回収業務などにも携わっている。

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保険基礎用語集 「預金保険機構」の解説

預金保険機構

昭和46年(1971)預金保険法に基づく特別法人として設立されました。ペイオフにより保険金の支払いを実施する機関を指します。

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世界大百科事典(旧版)内の預金保険機構の言及

【預金保険】より

…預金者等の保護を図るため,金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に預金者等に対して保険金等の支払と預金等債権の買取りを行うほか,破綻金融機関に係る合併等に対して適切な資金援助等を行い,もって信用秩序の維持に資することを目的とする制度である。預金保険法に基づき71年7月に特別法人の〈預金保険機構〉が設立された。その機能は,当初,保険金の支払に限定されていたが,86年7月に破綻金融機関を合併や事業譲受により救済する金融機関に対する資金援助が加わった。…

※「預金保険機構」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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