(読み)ワニ

デジタル大辞泉 「鰐」の意味・読み・例文・類語

わに【×鰐】

ワニ目の爬虫はちゅう類の総称。大形のものは全長7メートルに達し、胴がやや平たく、尾が強大。体表は硬い鱗板りんばんで覆われ、ふんは長く伸び、大きく鋭い歯が並ぶ。瞳孔は縦長。水中生活にも適応し、鼻孔・目・耳だけを水面上に出して獲物を待ち伏せる。肉食性アリゲータークロコダイルガビアルなど。皮を皮革製品に用いる。
サメの古名。
「海の―を欺きて言ひしく」〈・上〉
[類語]ガビアルクロコダイルアリゲーターカイマン

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精選版 日本国語大辞典 「鰐」の意味・読み・例文・類語

わに【鰐】

〘名〙
① ワニ目に属する爬虫類の総称。全長〇・七~一〇メートル。体はトカゲ型で大きく、全身堅い鱗板でおおわれる。頭部の先は突出して吻(ふん)となり、口は大きく、両あごに強力な円錐形の歯が並ぶ。尾は縦に扁平で、長く強力で水中進行の用をなし、外敵をたたく武器となる。前肢に五指、後肢に四指を具え、後肢にはみずかきもある。アフリカ・南北アメリカ・東南アジア・中国・オーストラリアなどに分布。多くは河川などの淡水域にすむ。卵生。呼吸系・循環系は爬虫類中最も進化。二畳紀から見られ、現存種にはナイルワニ・アメリカワニなどのクロコダイル、アメリカアリゲーター・ヨウスコウアリゲーターなどのアリゲーターのほかガビアル・カイマンなどに分けられる。皮は種々の皮革製品とされる。〔十巻本和名抄(934頃)〕
古語で、鮫(さめ)、あるいはその大形の種類である鱶(ふか)をいうとされる。わにざめ。わにぶか。
古事記(712)上「故、海の和邇(ワニ)〈此の二字は音を以ゐる。下は此れに効ふ〉を欺きて言はく」
今昔(1120頃か)二九「虎の左の前足、膝より下切れて无し〈略〉海に落ち入りつるに、鰐の咋切(くひきり)たるなめりと見る程に」
③ 渡海のとき、船が動けないようにするというわにざめに、恐ろしい人をたとえていう語。
浄瑠璃・傾城反魂香(1708頃)上「此不破と云鰐(ワニ)が見入れて余り程はあらせまい」
[補注](1)爬虫類のワニは日本近海では見ることがないので、上代のワニは、後代のワニザメ・ワニブカ等の名から、サメ・フカの類と考えられている。
(2)豊玉姫説話の「古事記」で「化八尋和」とあるところが、「日本書紀」で「化為龍」その一書の「化為八尋大熊鰐」にあたる。また、「新撰字鏡」「和名抄」で「鰐」にワニの訓を注するが、記紀ではワニの脚については記すところがない。おそらく強暴の水棲動物として「鰐」の字が選ばれたまま、中国伝来の四足の知識が定着し、近世に至って爬虫類としての実体に接することになったものと思われる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鰐」の解説

鰐 (ワニ)

動物。軟骨魚綱,板鰓亜綱に属する,エイ目を除く魚類の総称。サメの別称

鰐 (ワニ)

動物。ワニ目に属する動物の総称

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