『網走番外地』シリーズ(読み)あばしりばんがいちしりーず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「『網走番外地』シリーズ」の意味・わかりやすい解説

『網走番外地』シリーズ
あばしりばんがいちしりーず

日本映画。1965年(昭和40)~1967年東映作品。石井輝男(いしいてるお)(1924―2005)監督高倉健(たかくらけん)(1931―2014)主演。原作は、伊藤一(いとうはじめ)が1956年に出版した同名の実録小説。橘真一(高倉)は冬の網走刑務所へ護送される。雑居房には牢名主依田(安部徹(あべとおる)、1917―1993)、新入りの権田(南原宏治(なんばらこうじ)、1927―2001)、阿久田老人(嵐寛寿郎)などがいた。保護司の妻木(丹波哲郎(たんばてつろう)、1922―2006)は橘の仮釈放をとってくれるが、橘は権田の脱獄の企てに巻き込まれる。大雪原の脱走トロッコの追跡、汽車での手錠切断など、原作の設定を生かしつつ、アメリカ映画『手錠のまゝの脱獄』(1958年。監督スタンリー・クレイマーStanley Kramer、1913―2001)の日本版へと換骨奪胎した。東映は高倉が脱獄囚役で、ヒロインがいないため白黒の低予算映画としたが、映画は大ヒット。以後、カラーになり、『網走番外地 吹雪の斗争(とうそう)』(1967)まで10本が製作された。「新網走番外地シリーズ」も高倉の主演でマキノ雅弘(まさひろ)(別名、正博、雅広、雅裕、1908―1993)、佐伯清(さえききよし)(1914―2002)、降旗康男(ふるはたやすお)(1934―2019)監督で1968年~1972年に8本製作された。

[坂尻昌平]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android