デジタル大辞泉 「あいなし」の意味・読み・例文・類語
あい‐な・し
1 感心できない。気にくわない。
「親の、今は―・きよし、いひにやらむと」〈更級〉
2 おもしろみがない。つまらない。あじけない。
「梨の花…葉の色よりはじめて、―・く見ゆるを」〈枕・三七〉
3 調和に欠けている。そぐわない。
「老人の事をば、人も笑はず、衆に交りたるも、―・く見ぐるし」〈徒然・一五一〉
4 どうにもならない。むだである。
「誰も誰もあやしう―・きことを思ひ騒ぎて」〈源・東屋〉
5 (連用形を副詞的に用い)程度がはなはだしいさま。むやみに。やたらに。
「上達部、上人なども―・く目をそばめつつ」〈源・桐壺〉
[補説]歴史的仮名遣いは「あい」か「あひ」か不明。語源についても「愛無し」「あひ(間・合)なし」、さらに「あやなし」「あへなし」の音変化などと、諸説がある。