アオウキクサ
duckweed
Lemna paucicostata Hegelm.
池や水田の水面に浮遊する小型のウキクサ科水草。小さな水草で,水面に浮かぶ葉状体は長さ2~3mmのやや狭い卵形で,2本の根を水中におろす。この葉状体は短縮した茎と葉が合体したものと考えられ,3本の葉脈がある。基部近くから若い葉状体を1~2個側生し,発芽分裂をくり返し,普通は数個の葉状体から成る群を形成する。花は葉状体の下面に形成され,1本のおしべだけから成る雄花2個と1個のめしべから成る雌花が,共通した小さな苞につつまれている。同属のヒンジモL.trisulca L.は葉状体間をつなぐ枝を生じる。
春から秋には水面を浮遊している。全世界の熱帯から温帯にかけて広く分布し,染色体数40,50,70,その他の系統が知られている。日本においては開花の日長反応,越冬状況,染色体数などの特徴によって,九州から北海道にかけて分布する系統群(N1型),九州南部から南西諸島に分布する群(S型),本州日本海側に分布する群(N2型)が区別されている。
水鳥や草食性魚類の餌になり,また水田の雑草で緑肥として使われることもある。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
アオウキクサ(青浮草)
アオウキクサ
Lemna paucicostata; duckweed
ウキクサ科の多年草。日本各地の池や水田などに浮遊する小型の植物。葉と茎との区別はなく,2~3.5mmの卵円形で,緑色で平らな葉状体から成る。裏面の中央から1本の細い根を出す。体の側方から芽を出してふえ,いくつか横につながって群生する。条件に恵まれると短期間に水田を埋め尽すほど繁殖する。冬には休眠芽をつくり水底に沈んで越年する。夏から秋にかけて,体の側方にきわめて小さな花をまれにつける。花には微小なへら状の包葉があり,1本のおしべから成る雄花が2個,1本のめしべから成る雌花が1個ある。いずれも花被はない。ウキクサ科は世界に3属十数種あり,鳥などによって運ばれるので分布は広い。
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「アオウキクサ」の意味・わかりやすい解説
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世界大百科事典(旧版)内のアオウキクサの言及
【ウキクサ】より
…アヒルの飼料や水田の肥料にもされることがある。 よく似たアオウキクサLemna paucicostata Hegelm.の葉状体は2~4mmで両面とも緑色,葉状体はそれぞれ1本の根しか出さない。またヒンジモL.trisulcata L.の葉状体は長い柄で連結し,接しあわない。…
【ウキクサ】より
…アヒルの飼料や水田の肥料にもされることがある。 よく似たアオウキクサLemna paucicostata Hegelm.の葉状体は2~4mmで両面とも緑色,葉状体はそれぞれ1本の根しか出さない。またヒンジモL.trisulcata L.の葉状体は長い柄で連結し,接しあわない。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」