アオメエソ(読み)あおめえそ(その他表記)greeneye

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アオメエソ」の意味・わかりやすい解説

アオメエソ
あおめえそ / 青眼狗母魚
青眼鮧
青眼鱛
greeneye
[学] Chlorophthalmus albatrossis

硬骨魚綱ヒメ目アオメエソ科に属する海水魚。別名、メヒカリ。日本では相模(さがみ)湾以南の太平洋側と新潟県以南の日本海側、東シナ海、九州・パラオ海嶺(かいれい)などに、世界では台湾南部、ニュージーランド、ニュー・カレドニア、インドネシアなどインド洋、西太平洋に広く分布する。体は細長く、胴部はほぼ円筒形である。眼径は大きく、吻長(ふんちょう)より長い。口は斜めに開き、上顎(じょうがく)の後端は瞳孔(どうこう)の前縁下に達する。下顎の先端は上顎より前に出る。上下両顎の歯は小さくて、狭い歯帯を形成する。下顎前部に外歯叢(がいしそう)(密集した小さい歯のかたまり)があり、その両側は丸い。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)の外縁に歯があり、舌上には歯帯がある。鱗(うろこ)は小さく、円鱗(えんりん)で、側線鱗数は52~59枚。肛門(こうもん)の周囲に黒色の無鱗域(発光器)がある。背びれは高く、体のほとんど前3分の1にあり、10~12軟条。小さい脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)が臀(しり)びれの第1~4軟条の上にある。胸びれは短く、その先端は腹びれの先端に達しない。腹びれ起部は背びれ起部下方にある。体は背側面では青灰色、腹側面では銀白色で、暗色の斑紋(はんもん)が10個ほど縦列する。肛門の周辺は黒色。水深150~620メートルの大陸棚の縁辺から大陸棚斜面の上部にすみ、底生の小形の無脊椎(むせきつい)動物を食べる。最大体長は15センチメートルに達する。おもに練り製品干物にされるが、刺身やから揚げにしてもおいしい。

 アオメエソ科の魚は、日本近海では本種および、トモメヒカリバケアオメエソ、ツマグロアオメエソC. nigromarginatus、ヒレナガアオメエソC. pectoralis、マルアオメエソC. borealisおよびヒレグロアオメエソC. sp.の7種が知られる。それらのうちアオメエソは鋤骨の外縁に歯があること、口腔(こうこう)内が黒くないこと、胸びれの先端は腹びれの後端を越えないこと、背びれの前下方に黒斑がないことなどでマルアオメエソによく似る。しかしアオメエソは目がやや大きく、体長の11~13%であること、頭がやや長く、体長の26~30%であること、相模湾以南に分布することなどで、マルアオメエソと区別できる。

[上野輝彌・尼岡邦夫 2025年5月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「アオメエソ」の意味・わかりやすい解説

アオメエソ
Chlorophthalmus albatrossi

ハダカイワシ目アオメエソ科の海産魚。瞳孔が青緑色に輝くのでアオメエソという。別名メヒカリ。英名でアオメエソ科魚類をgreeneyesと呼ぶのもこれに由来する。銚子以南の南日本海域,日本海の富山湾に分布する。頭は扁平,口は斜めに裂ける。体は細長く円筒形。大きな眼が頭の上側近くにあり,眼径は吻(ふん)の長さより大きい。背びれは体の中心より後ろにある。体色はオリーブ色で,体側に約10個の暗色斑がある。体長15cm。水深200~400mの陸棚周辺の底層に群れをなして生息し,小型甲殻類や小魚などを捕食する。底引網で大量に漁獲され,干物やかまぼこ材料にされる。アオメエソ科Chlorophthalmidae魚類は,全世界に3属約20種が知られる。そのうち日本産のアオメエソ科魚類としては,ほかにトモメヒカリ,ツマグロアオメエソ,ナガアオメエソ,マルアオメエソ,モンアオメエソ,オニアオメエソの6種が知られ,いずれも形態的に類似しており,かつ陸棚周辺海域の底層に生息し底引網で漁獲される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アオメエソ」の意味・わかりやすい解説

アオメエソ
Chlorophthalmus albatrossis

ヒメ目アオメエソ科の海水魚。体長約 15cm。体は円筒形で,頭部は縦扁する。眼は著しく大きい。体色はオリーブ色で,体側に約 10条の不規則な暗色斑がある。瞳孔は青緑色に輝く。南日本からフィリピンに分布し,水深 200~600mの深海に生息する(→深海魚)。干物佃煮かまぼこの原料とされる。

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