日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカマダラ」の意味・わかりやすい解説
アカマダラ(チョウ)
あかまだら / 赤斑蝶
map butterfly
[学] Araschnia levana
昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。日本では北海道の特産種で、平地から低山地に普通にみられ、沢沿いの草地に多い。日本以外では朝鮮半島北部、中国東北部、ロシア連邦アムール地方よりヨーロッパにかけてユーラシアの北部に広く分布する。はねの開張は35ミリメートル内外で、タテハチョウの仲間ではとくに小形種である。成虫の色彩や斑紋(はんもん)は発生期によって著しく相違し、春型のはねの表は黒と橙(だいだい)色のまだら模様となり、和名はこの特徴に由来する。夏型では地色が黒褐色となり、前・後翅(し)を貫く1本の白帯が走る。リンネは本種の春型と夏型を別種として分類したが、のちに同一種の季節型であることが判明した。これは世界でチョウの著しい季節的変異の知られた最初の例である。北海道では普通、年2回発生し、春型は5~6月、夏型は7~8月に現れるが、年により9月に部分的な第3化(夏型)の出ることがある。幼虫の食草はエゾイラクサ(オオバイラクサ)、ホソバイラクサ、ムカゴイラクサなどのイラクサ科植物で、越冬態は蛹(さなぎ)である。日本では本種に類似のものにサカハチチョウがある。
[白水 隆]
アカマダラ(ヘビ)
あかまだら
[学] Dinodon rufozonatus rufozonatus
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ナミヘビ科のヘビ。同科マダラヘビ属の1種で無毒ヘビ。対馬(つしま)、尖閣諸島(せんかくしょとう)の魚釣島(うおつりじま)、朝鮮半島、中国、台湾に分布する。同属のうちもっとも分布が広く、中国大陸では東北地区から海南島(かいなんとう)まで連続分布している。全長1~1.2メートル。体の背面は赤紅色または赤褐色で、45~65個ほどの黒色をした帯状模様が並ぶ。山地から平地にかけて森林や耕地の水辺など、やや湿った場所にすみ、人家付近でもみられる。夜行性で、餌(えさ)はカエル、ネズミ、小鳥、ヘビなどである。斑紋(はんもん)が毒ヘビのアマガサヘビBungarus multicinctusに似るため、アマガサモドキともよばれる。
[松井孝爾]