特異な鱗片からなる球根をもつイワタバコ科ハナギリソウ属Achimenesの草本植物で,メキシコからブラジルにかけて約30種が分布する。春に球根を植えると,初夏から秋にかけ長期間にわたって開花する。野生種からの選抜や種間交雑によって,園芸品種が多く作出されており,花は長さ3~10cm,白,黄,青,紫,赤色など豊富で鮮明な色彩をもっている。鉢植えとして栽培される。草丈20~60cm。球根は細長い松かさ状をしており,中心に細い軸(茎)があり,これに肉厚の鱗片(葉)が密に重なってつく。葉は対生または輪生し,各葉腋(ようえき)に1花ないし数花をつける。花は筒状で先が平面に広がるか,らっぱ状をしており,先端は5裂する。秋には生長が止まり,やがて地上部は枯死し,地下に新しく形成された球根が残る。多く栽培される野生種として,アキメネス・ロンギフローラA.longiflora DC.(メキシコからパナマ原産),サビハハナギリソウA.grandiflora (Schiede) DC.(中米原産)などがある。繁殖は球根の自然増殖による。また挿木繁殖も簡単である。夏は遮光下で栽培し,秋に地上部が枯れたときに灌水を中止して,5~10℃の室内で鉢のまま球根を貯蔵する。
執筆者:冨士原 健三
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イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)のアキメネス属の総称。熱帯アメリカ原産の春植え球根草。メキシコからブラジル、アルゼンチンにかけて約26種(コクシネアA. coccinea Pers.、グランディフローラA. grandiflora DC.など)が分布する。また、交配によってつくられた多くの園芸品種が、夏の鉢物として栽培される。球根は松かさ状の小塊茎で、草丈は20~30センチメートル。葉は対生または輪生し、花は葉腋(ようえき)から互生し、花筒は長く先端は開く。花色は品種によって、赤、紫、青、白など豊富である。
[平城好明 2021年7月16日]
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