アキレウスタティオス(その他表記)Achilleus Tatios

改訂新版 世界大百科事典 「アキレウスタティオス」の意味・わかりやすい解説

アキレウス・タティオス
Achilleus Tatios

2世紀ころ活躍したギリシア小説家。生没年不詳。アレクサンドリアの出身で,のちにキリスト教に改宗し,主教にまでなったと伝えられるが,明確なことはわからない。また偉人伝記語源に関する論著などを書いたともいわれるが,それらの作品は残っていない。彼の作として伝わっているのは《レウキッペとクレイトフォンの物語》と題する全8巻の小説だけである。これは互いに恋し合う若い男女の主人公運命いたずらによって離れ離れとなり,さまざまの苦難にあいながら各地を放浪しつづけ,最後にめでたく結ばれるまでを描いたもの。盗賊誘拐,難船などギリシアの恋愛物語に共通する要素を備えた作品であるが,死んだはずの主人公が実は生きていたりするスリルに富んだ筋立てや,異国風物の詳しい記述などは特徴的で,また主人公が一人称で語るという形式も独特のものである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アキレウスタティオス」の意味・わかりやすい解説

アキレウス・タティオス
あきれうすたてぃおす
Achilleus Tatios

生没年不詳。紀元後2世紀ごろのギリシアの作家。アレクサンドリアの出身で、多方面にわたる著述をしたというが、その生涯については正確な資料は何も残っていない。現存する唯一の作品『レウキッペーとクレイトフォン』だけで知られている。これは、恋する若い男女が運命のいたずらで離れ離れとなり、異国の地に放浪を重ねたのち最後に結ばれるまでの冒険を描いた小説で、死んだはずの主人公が生きていたりするスリルに満ちた筋立(すじだ)てや、古代世界の風物の記述が注目に価する。

[引地正俊]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「アキレウスタティオス」の意味・わかりやすい解説

アキレウス・タティオス

2世紀ごろ活躍したアレクサンドリア出身のギリシアの作家。二人の恋人が数々の苦難と放浪の末にめでたく結ばれる物語《レウキッペとクレイトフォン》のみが伝わる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android