日本大百科全書(ニッポニカ) 「アジェンダ2020」の意味・わかりやすい解説
アジェンダ2020
あじぇんだにせんにじゅう
Olympic Agenda 2020
2014年12月に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の臨時総会において満場一致で採択された、オリンピックの中長期改革計画。正式名称はオリンピックアジェンダ2020。アジェンダagendaは予定、行動計画を意味する英語である。開催都市のコスト軽減や実施競技選定の見直しなど、オリンピック憲章の改定を伴う40項目の改革案は、2021年(令和3)開催のオリンピック東京大会で一部実施され、2024年オリンピック・パリ大会以降、順次行われる。おもな内容は以下のとおりである。(1)招致 既存の競技施設や一時的会場の活用を促進し、開催都市や開催国以外での一部競技の開催を認める。また、候補都市の招致費用の一部をIOCが負担する。(2)実施競技 夏季オリンピックでは28競技とする現行の競技数上限を撤廃し、選手数を約1万0500人に抑えたうえで約310種目とする。冬季オリンピックは約100種目、選手数2900人を上限とする。また、開催都市に一つ、または複数の追加種目の提案権を与え、追加種目参加選手の数を選手数の上限に含まないこととする。(3)男女平等 女性の参加率50%を目標とし、男女混合団体種目の採用を推奨する。また、性的志向(異性愛者か同性愛者かなど)による差別の禁止を徹底する。(4)道徳 八百長の防止や反ドーピング活動のためにIOCは資金提供を行う。(5)選手育成 ユースオリンピックの使命や位置づけ、財源などの見直し。ユネスコ(国連教育科学文化機関)との連携。(6)その他 プロリーグとの連携強化。専門テレビ・オリンピックチャンネルを創設。IOC委員の定年延長。
オリンピック改革は、2013年9月にIOC会長として就任したトーマス・バッハThomas Bach(1953― )の選挙公約で、アジェンダ2020は各国・地域のオリンピック委員会や公募された4万件を超える意見をもとに作成された。
[編集部]