日本大百科全書(ニッポニカ) 「アタカマ鉱」の意味・わかりやすい解説
アタカマ鉱
あたかまこう
atacamite
各種銅鉱床で塩素(Cl)が特徴的にみられる酸化帯に生成される二次鉱物。パラアタカマ鉱paratacamite、斜アタカマ鉱clinoatacamite、ボタラック鉱botallackiteと同質四像関係にある。塩素の由来は、元来、この酸化帯の(1)脈石鉱物中のNaCl(塩化ナトリウム)固体あるいは溶液の包有物、(2)海水などからの直接供給、(3)母岩に近接する岩塩などを含む地層の存在、(4)熱水溶液で輸送されたCu(銅)-Cl化合物などによる。これらのほか溶岩の表面を覆って産し、またスモーカー(深海で熱水からの沈殿物が堆積(たいせき)した煙突状の構造物)周辺堆積物中の銅硫化物を覆って産することもある。日本では、(1)(2)の産状のものと、溶岩に伴われるものとがあり、三宅島(みやけじま)(東京)で確認された。なお、(2)の産状のものが山口県萩(はぎ)市志津木(しづき)鉱山(閉山)から確認されたと報告されている。名称は原産地チリ北部アタカマ砂漠にちなむ。
[加藤 昭 2015年12月14日]