世界労働組合連盟(読み)せかいろうどうくみあいれんめい(英語表記)World Federation of Trade Unions

精選版 日本国語大辞典 「世界労働組合連盟」の意味・読み・例文・類語

せかい‐ろうどうくみあいれんめい ‥ラウドウくみあひレンメイ【世界労働組合連盟】

(World Federation of Trade Unions の訳語) 国際労働組合組織の一つ。一九四五年五六か国の労働者代表が参加しパリで結成。本部はチェコのプラハ。略称WFTU。世界労連。→国際自由労働組合連盟

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デジタル大辞泉 「世界労働組合連盟」の意味・読み・例文・類語

せかい‐ろうどうくみあいれんめい〔‐ラウドウくみあひレンメイ〕【世界労働組合連盟】

ダブリュー‐エフ‐ティー‐ユー(WFTU)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「世界労働組合連盟」の意味・わかりやすい解説

世界労働組合連盟
せかいろうどうくみあいれんめい
World Federation of Trade Unions

第二次世界大戦直後に結成された国際的労働組合組織。略称世界労連(WFTU)。第二次世界大戦中、反ファシズムの統一行動を展開した世界の労働者階級は、この経験に基づき、労働組合組織を国際的に統一する必要があると考えるに至った。1945年2月にロンドンで各国労働組合の代表者が集まって協議した結果、1945年10月、パリに6000万の労働者を代表する53か国ないし国際組織の代議員らを結集して世界労働組合大会を開催、世界労連を結成した。結成のイニシアティブをとったのは、戦時中にすでに連携をとり、統一行動を展開しつつあったソ連労働組合中央評議会、イギリス労働組合会議(TUC)、アメリカ産業別組合会議(CIO)、フランス労働総同盟(CGT(セージェーテー))などであった。本部はパリに設置された。

 世界労連の目的は、社会体制、民族、人種、宗教、政治的見解の違いを越えて、全世界の労働組合を団結させ、平和と民主主義を守り、民族的抑圧をなくし、労働者の生活と権利を守ることであった。しかし1947年の東西冷戦開始、とりわけアメリカによるマーシャル・プラン(ヨーロッパ復興計画)の実施を契機にして、アメリカ、イギリスの組合を先頭に分裂的行動が開始された。そして1949年にはついに、ヨーロッパ諸国の大部分の組織は、CGT、イタリア労働総同盟CGIL(チジル))を除いて世界労連を脱退、アメリカ労働総同盟(AFL)とともに国際自由労連ICFTU)を結成した。

 さらに、1980年代後半から1990年代前半にかけて、国内の民主化やソ連の崩壊の影響をうけた東欧諸国と、ソ連ナショナルセンターの脱退のほか、フランスCGTも脱退して、多くの主力組合を失い、その組織勢力はきわめて弱まった。WFTUに残ったおもな組織は、キューバ労働総同盟(CTC)、朝鮮職業総同盟、全インド労働組合会議(AITUC)、ベトナム労働総同盟などであった。

 それに、中東(シリアパレスチナレバノン)、中南米メキシコパナマジャマイカコロンビア、ブラジル)、アフリカ(セネガル、スーダン)、ほかにギリシア、キプロス、ポルトガル、オーストラリア、スリランカ、ロシアなどをはじめとする諸組合が加わり、WFTUは現在では、グローバリゼーションに対するあらゆるレベルにおける共同闘争の推進、独占と多国籍企業からの労働組合の独立性確保など、全体として発展途上国等を中心とした戦闘的な国際労働組合組織としての性格を強めている。

 2000年3月の第14回世界大会の時点では、120か国、1億3000万人の労働者を組織していると発表されたが、正確な実態は不明である。2005年12月、キューバのハバナで、78か国から273組織を代表して583人が参加し、第15回世界大会が開かれた。本部は2010年10月時点では、ギリシアのアテネにある。

 日本からは2005年(平成17)時点で、産業別インターナショナルである公務インターナショナルに日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)、建築インターナショナルに全日本建設交運一般労働組合(建交労)、国土交通省全建設労働組合(全建労)、運輸インターナショナルに建交労、世界教員組合連盟に全日本教職員組合加盟組織の日本高等学校教職員組合(日高教)が加盟している。

[早川征一郎]

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百科事典マイペディア 「世界労働組合連盟」の意味・わかりやすい解説

世界労働組合連盟【せかいろうどうくみあいれんめい】

World Federation of Trade Unions。略称WFTU,世界労連。1945年結成。第2次大戦中の反ファシズム闘争における連合国労働者の協力を基盤とし,世界の労働組合の統一をめざす。1949年脱退したCIOを中心に結成された国際自由労連とともに国際的労働運動の2大勢力。産業別部門として11の労働組合インターナショナルをもつ。本部プラハ。加盟67ヵ国,約1億1000万人(1997)。日本では全建労,全自交などが加盟。
→関連項目サイヤン産別会議社会保障憲章ジュオー全ソ労働組合中央評議会中華全国総工会

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「世界労働組合連盟」の意味・わかりやすい解説

世界労働組合連盟
せかいろうどうくみあいれんめい
World Federation of Trade Unions; WFTU

略称世界労連。 1945年2月ロンドンで開かれた世界労働組合会議を経て,56ヵ国の 65団体,約 6700万人の労働者の代表がパリに集り,同年 10月全世界の労働組合の団結強化を目指して結成された国際労働組合組織。世界労働組合会議は,イギリスの労働組合会議 TUC,アメリカの産業別労働組合会議 CIO,ソ連の労働組合総評議会 (全ソ労評) が設定した。世界労連は最初に国連の非政府組織 NGOとなり,国際労働機関 ILOにおいても勢威をふるったが,マーシャル・プランをめぐって分裂が生じ,TUC,CIOなどは 49年に脱退して国際自由労働組合連盟 ICFTUを結成した。 WFTU本部は 51年にパリからソ連占領下のウィーンに,56年にはプラハに移転した。 1960年代に中ソ対立が生じ,イタリア労働総同盟が 78年に脱退。 90年 11月,モスクワで第 12回大会が開催されたが,すでに全ソ労評は改組改称していた。独立国家共同体 CISの労組総連合が 92年に脱退,WFTUは有名無実となった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「世界労働組合連盟」の解説

世界労働組合連盟
せかいろうどうくみあいれんめい
World Federation of Trade Union

第二次世界大戦直後の1945年10月,各国の労働者・団体がパリで組織した史上最大の労働者の国際組織。略称は世界労連,WFTU
大戦中の反ファシズム闘争のためのイギリス・ソ連両国の労働組合の共同組織が母体。1949年米・ソの対立を反映して国際自由労働組合連合(自由労連)が分離した。

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世界大百科事典(旧版)内の世界労働組合連盟の言及

【世界労連】より

…世界労働組合連盟World Federation of Trade Unions(WFTU)の略称。帝国主義・植民地主義反対,民族独立,勤労者の生活と権利,平和の擁護をめざし,世界の労働組合を統一する目的で,社会体制の違いをこえて各国の労働組合中央組織を結集している国際労働組合組織。…

【労働運動】より

… こうして国際労働運動は社会民主主義系と共産主義系の二つの組織に分裂し,この対立は今日まで尾をひいている。すなわち第2次大戦後,すべての国の労働組合を結集して世界労働組合連盟(世界労連,WFTU)が結成されたが(1945),マーシャル・プランに対する態度をめぐって対立が激化し,分裂した。世界労連から脱退した組合(西欧諸国の大部分およびAFL,CIO―この両者は1955年合併してAFL‐CIOになる)は国際自由労働組合連盟(国際自由労連,ICFTU)を結成し(1949),反共主義,反世界労連の立場に立って世界労連と鋭く対抗した。…

※「世界労働組合連盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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