日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカーナ百科事典」の意味・わかりやすい解説
アメリカーナ百科事典
あめりかーなひゃっかじてん
Encyclopedia Americana
アメリカに育ったアメリカ的百科事典の代表。ドイツ系政治学者リーバーFrancis Lieber(1800―1872)がドイツの『ブロックハウス百科事典』Die Brockhaus Enzyklopädie7版を基に、アメリカの事項を加えて16巻として、1829~1833年に出版。のち1918~1920年版を30巻に拡大、1923年には編集と発行にアメリカ的合理性を発揮した。すなわち、従来十数年ごとに全体を新執筆原稿で埋めたため、巨額の投資を行い、10年で回収したが、科学技術の先端技術は変化するものの、歴史、芸術、文学、宗教などは変化しないということから、毎年必要に応じた改訂だけで、いつも新鮮な知識を売り込み、投資も少額ですむこと、旧版所有者には改訂の年鑑を売り込むことなど、経営と編集の改革で成績をあげた。また数字や綴字(つづりじ)の徹底的校訂で信用され、大事典と認められた。1943年、大項目に小項目を多く加え、6万項目とした。また、増ページしても巻数は変更しない。
この事典の特色は、(1)アメリカ諸州の事情を詳細に記述した、(2)現存の有名人・有力者の伝記を多くした、(3)国際的大国、大都市に力を入れた、(4)オペラ、文学、名句に力を入れた、(5)科学技術の最新情報を入れた、(6)アメリカ向けの実用性を図った、などである。第二次世界大戦後アメリカーナ百科事典社は買収され、グロリア・インターナショナルになった。
[彌吉光長]