翻訳|Minos
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ギリシア伝説のクレタ王。ゼウスとエウロペの子。妃パシファエPasiphaēとの間にアリアドネAriadnē,ファイドラPhaidra,アンドロゲオスAndrogeōsらをもうけた。海神ポセイドンに祈って雄牛を海中から出現させてもらったお蔭で王位につけたにもかかわらず,約束に反してその牛を海神に捧げなかったため,海神はパシファエが雄牛に恋するように仕向け,その交わりから人身牛頭の怪物ミノタウロスが生まれた。彼はこの怪物を名匠ダイダロスに造らせた迷宮ラビュリントスに閉じ込め,息子アンドロゲオス殺害の償いとして毎年アテナイから送られる14人の少年少女を餌に与えていたが,怪物はやがてアテナイの王子テセウスに退治され,またダイダロスは人工の翼によって空からクレタ島を脱出したので,そのあとを追ってシチリア島に行き,同地の王コカロスKōkalosに殺されたという。以上はおもにアッティカ地方の伝承であるが,これとは別に,彼は最古の海軍の組織者で,海賊を平らげてエーゲ海全域を支配する一方,クレタ島に法を与えて善政を布いたので,同じく有名な立法者であった弟のラダマンテュスRhadamanthys,敬虔をもって知られた英雄アイアコスAiakosとともに,死後,冥界の裁判官になったとする伝承もあり,いずれも,かすかながら,彼の名にちなんでミノス文明とも呼ばれる先史時代のクレタ文明の最盛期の記憶をとどめるものと考えられている。なお,ミノスの名は王朝名または王の称号であったかもしれない。
執筆者:水谷 智洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…浜辺で侍女たちとたわむれていたとき,白い雄牛となって近づいたゼウスにだまされ,その背に乗ったまま,海を渡ってクレタ島へ運ばれた。彼女はこの島でゼウスと交わって,ミノス(のちのクレタ王),ラダマンテュス(死後冥府の裁判官となった),サルペドン(のちのリュキア王)の3子を生んだ。その後,クレタ王アステリオスの妃となり,死後は女神としてあがめられた。…
…ゼウスは人間の女との間にも多数の子をもうける。主要なものだけを挙げれば,テーバイの王女セメレSemelēによりディオニュソスを,アルクメネAlkmēnēによりヘラクレス,ダナエDanaēによりペルセウス,エウロペによりミノスを得た。それぞれの場合につき細目と関与者を特徴づける物語が語られている。…
…しかし星座の起源についての説明は,ギリシア神話のなかでもつねに一定しているわけではない。たとえばおうし座は一説によれば,フェニキアの王女エウロペをゼウスの愛人にするために背に乗せて海を渡り,クレタ島まで運んだ牛が天にあげられたものだが,別の伝承によれば,クレタ王ミノスの祈りにこたえて,海神ポセイドンが海から出現させた牛である。ミノスの妃パシファエがこの牛に恋し,名工ダイダロスにつくらせた本物そっくりの牝牛の模型の中に入って,その牛の種を受けて半牛半人の怪物ミノタウロスを生んだという。…
※「ミノス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新