日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルディゴ」の意味・わかりやすい解説
アルディゴ
あるでぃご
Roberto Ardigò
(1828―1920)
イタリアにおける実証主義の代表的哲学者。クレモナのカステルディドーネに生まれる。カトリックの司祭となるが、還俗(げんぞく)し、パドバ大学で哲学史を教える。当時ヨーロッパで全盛期を迎えた実証主義の立場にたって、哲学が固有の対象をもたず、諸個別科学の成果の総合であるとしながらも、「心理的事実」を対象とするような哲学の諸分野の余地を認め、また哲学は全体的な学ではあるが、単に諸科学の成果を集めるだけではなく、あらゆる諸科学の境界を超えて究極の限界にまで帰納を進め、存在の最高の原理をとらえようとするものだと考える。著作に『実証的科学としての心理学』(1870)その他がある。
[大谷啓治]