アルビレオ(読み)あるびれお(その他表記)Albireo

関連語 ベータ星 茨木

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルビレオ」の意味・わかりやすい解説

アルビレオ
あるびれお
Albireo

はくちょう座β(ベータ)星の固有名。はくちょう座のくちばしにあたる部分に位置しており、はくちょう座の中央の星によってできる「北十字星」をも構成している。「天上宝石」とたたえられるオレンジの主星と青い伴星からなる美しい二重星で、宮沢賢治は『銀河鉄道の夜』でサファイアトパーズの星となぞらえている。地球からは距離434光年先にあり、実視等級は2.9等星である。主星はオレンジ(金色)で実視等級は3.1等星、この星も二重星である。伴星は青く実視等級は5.4等星である。アルビレオは見かけの二重星または連星と思われていたが、ガイア衛星による固有運動のデータの解析から実際の連星であるとわかった。8月中旬の午後7時ごろに南東の空に、午後8時ごろに南南東の空に、午後9時ごろに真上の空に見える。

[山本将史 2021年7月16日]


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改訂新版 世界大百科事典 「アルビレオ」の意味・わかりやすい解説

アルビレオ
Albireo

はくちょう座のβ星。夏の天の川のただ中,白鳥のくちばしにあたる星だが,星名の意味は不詳。小望遠鏡での観望に適した有名な二重星。オレンジがかった3等星から約34秒離れてブルーの5等星が見える。宮沢賢治は《銀河鉄道の夜》中で〈黄金瑠璃るり)〉あるいは〈青宝玉(サフアイア)と黄玉(トパーズ)の大きな二つのすきとおった球〉などと形容し,その美しさは幾多の人たちによってたたえられている。ただし,この2星は引力的結合をもった連星ではない。概略位置は赤経19h31m,赤緯+27°58′。8月下旬の午後9時ごろ南中する。実視等級は3.1等。K3型のスペクトルをもつ巨星で,距離は約192光年。
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