重星(読み)ジュウセイ

デジタル大辞泉 「重星」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐せい〔ヂユウ‐〕【重星】

肉眼では1個に見えるが、望遠鏡では2個以上に見える恒星。2個の恒星からなる二重星が多い。相互に遠く離れていても方向が一致しているために接近して見えるものと、距離近く引力を及ぼし合っている連星とがある。

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精選版 日本国語大辞典 「重星」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐せいヂュウ‥【重星】

  1. 〘 名詞 〙 肉眼では一つに見えるが、望遠鏡では二つ以上に分離して見える星。距離の離れた星が同じ方向に重なって見える光学的重星と、近い距離で互い重力を及ぼし合っている連星に分かれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「重星」の意味・わかりやすい解説

重星
じゅうせい

天球上で二つ以上の恒星が接近して見えているものをいう。星が二つの場合は二重星、以下、三重星、四重星……などとよぶ。多重星ともいう。重星には、たまたま地球から見て同じ方向にあって接近して見えているが、実際には空間的に離れていて互いになんの関係もない見かけの重星(オプティカル・ダブルoptical double)と、空間的にも近距離にあり相互に引力を及ぼし合っている本当の重星(連星)とがある。従来、重星とは肉眼または望遠鏡を通して見たとき、2個以上の星が接近して見えるものをいっていたが、1980年代以降は望遠鏡で分離できなくても干渉計などの使用により二つ以上の星に分離できるものも含める。

 連星には、二つの星が望遠鏡で分離して見えている実視連星、2星が互いの周りを公転しそのドップラー効果によるスペクトル線のずれから連星とわかる分光連星、2星の公転で互いに他方を隠して光度が変化する食連星などがある。実視連星は、2星の公転により長い間には間隔や位置角が変化していく。片方の星が暗くて見えない場合(不可視伴星)でも、他方の星の動きから連星であることが判明するものもある。有名な連星として、シリウスカペラアルゴルなどがある。

[山崎篤磨]

『中野繁著『星座の観望 重星・星雲・星団めぐり』(1971・恒星社厚生閣)』『中野繁編『双眼鏡観望星図ガイドブック』(1988・星の手帖社)』『天文ガイド編・冨田弘一郎監修『天体ガイドマップ』(1998・誠文堂新光社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「重星」の意味・わかりやすい解説

重星 (じゅうせい)
multiple star

天球上で二つ以上の恒星が互いに接近して見える場合をいう。二つの恒星の場合を二重星,3個,4個と数が増えると,三重星,四重星といい,一般的には多重星という。北斗七星の柄の先から2番目の星は2等星の明るさのおおぐま座ζ星(ミザル)であるが,目をこらして見ると光度5等の星(アルコア)が密接(角度で12分)してついている。この二つはよく知られた二重星で,昔から人の視力の分解能のよしあしのチェックに使われてきた。しかし一般には望遠鏡でのぞいて見て初めてわかる重星が大部分である。

 ミザル,アルコアの二重星は地球から見てたまたま同じ方向に接近して見えるだけで,実際の両星の距離は非常に違う。このような場合を〈見かけの重星〉とか〈光学的重星〉と呼ぶ。現在までに約6万が知られている。

 重星の中で引力的に結びつき,共通重心のまわりをお互いに公転しているものを実視連星といい,〈見かけの重星〉とは区別される。この場合は,何十年,何百年という長い周期で非常にゆっくりと位置角を変えていくので,見える方向だけでなく空間的にも接近して結びついた連星であることがわかるのである。
連星
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百科事典マイペディア 「重星」の意味・わかりやすい解説

重星【じゅうせい】

二つ以上の恒星が互いに接近して見える場合をいう。2個の恒星からなるときを二重星と呼び,以下3個,4個と増えると,三重星,四重星と呼ぶ。一般的には多重星の名も使う。空間的には遠く離れているが方向が偶然一致しているため接近して見えるものを光学的重星,実際に接近して力学的に体系を作っているものを連星という。
→関連項目二重星

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「重星」の意味・わかりやすい解説

重星
じゅうせい
double star

きわめて近接して見える2個あるいはそれ以上の恒星。星の数により二重星,三重星,四重星などという。そのうち,無関係な2星が偶然同じ方角に見えるものを光学的二重星といい,実際に2星が近くにあって互いに引力を及ぼし合うものを連星という。

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